可愛いもの 象

芥川龍之介の 「追憶」 に 小学二・三年生の時、学校で国語か何かの簡単な試験で 「 可愛いと思うもの と 美しいと思うもの を書け 」 という出題に対して 可愛いと思うもの → 象 美しいと思うもの → 雲 と 『 僕の真実 』 を解答したが、先生はこれを気に入…

いきもの小選挙区

先日のインフルエンザからこっちは、特に不精の度が進んで御無沙汰してしまった。 その間に記事内容とは別の御質問・御報告を受けていたが、お話の筋に私の認識とずれる部分も多い。 折を見て事実関係を確認の上、御同記頂いていた御連絡先へ直接お報せしよ…

体温刑

久し振りの怖ろしい風邪だった。 始めはちょっと疲れたかな くらいのものだったが、寝て起きると体が熱い。 反対に体感的には寒く、しかし部屋のヒーターは通常通り動いている。 そのうち今度は熱くて苦しくなってきた。 鼻が詰まるとか頭が痛いとかいう事は…

二色問題

先日、夕暮に大きなキタカブリが出た場所を藤次郎さんと再訪した。 さらに大きな個体 とは言わないまでも、このすり鉢状の谷には見所がまだ幾らか残っているだろうと考えての事。 何しろ前回は日没直後に虫が出始め、写真どころかただ歩くのも手探りに近い状…

採れない話

これは先月のキタカブリ。 こうして山で見た虫の写真を載せたりしていると、 「 いつでも綺麗な虫がたくさん見られて羨ましいですねえ。 」 などと言ってくれる方もおられる。 いつでも という事はないのであって、天気一つにしても晴れの日ばかりではない。…

大粒にして大味ならず

先の記事、藤次郎さんが素晴らしい色の個体を見付けた少し前の事。 12月22日は朝から寒い日で、それがわかっていながら藤次郎さんを誘って(唆して)山へ。 皆様おわかりの事とは思うけれど、向かう先は宮城県北部で目当てはキタカブリ。 新しい道路で岩…

新年新色

能動的な分身 に続いては 「 ドッペルゲンガー 」 の話をと考えていたのだが、ここで使いたかった資料が見付からない。 芥川龍之介の 『椒圖志異』 がそれで、年末年始に書棚や積本の山をさらったにもかかわらず出て来ない。 内容としては全集や文庫に収録さ…

分身の術 望まれる分身

今秋に予定されていた 「花咲け!ピクチャーズ」 がヤフーから引き取ったアバターシステムの稼動開始だが、少し延期されるそうだ。 突然の運営停止から消滅 という流れを辿ってもおかしくなかったシステムを、ユーザーのデータごと存続させようという面倒な…

アバター復帰か 分身考

アバター 大雑把に言えば、インターネット上のコミュニティで用いられるユーザーの分身。 当誌を含めたヤフーのブログとは 「 Yahoo!アバター 」 が連動していたが、先日このサービスが終了した。 現在はブログとの連動・表示はせず、アイテム等のデー…

寺の子ネコ 毛の生えた鞠

今日はかわいい子ネコでも見て行って。 そろそろ冬の虫も採れ始めたが、画像の整理がてら蓄えを出しておこうと思う。 先日も紹介したように、松島の天麟院ではネコが境内をうろうろしている。 そのうち最小の個体がこれ。 子猫はせわしない。 毛の生えた鞠が…

晩秋 頼みの顎

徹夜明け、もう寝ようと思ったところにメールが。 ろくなタイミングではないと思いながら確認すると、藤次郎さんが山へ誘うのであった。 ここでついて行くのだから行く方が悪い。 「 もうクワガタの時期でもあるまい。」 と呟きながら ススキにヒメオオクワ…

アカアシ甲子園へ

先の記事でも触れた通り、東北で大きなアカアシクワガタはなかなか見られず、野外の個体で50mmを超えれば良い所 というのがしばらく前までの大方の見当だったが、今では少ないながら図抜けて大きなものもいる と言える。 アカアシクワガタ飼育の権威である…

春秋 一巡り

十月も半ば。 もう朝夕は冷えるので、慌てて冬物を引っ張り出しながらくしゃみをしたり。 山の秋も急速に進んでいる。 今年のクワガタ探しも長い事続いたが、これにとどめを刺すつもりで ishiさん、藤次郎さんの後に続いた。 この日の出発は昼前と遅かっ…

ネコの禅

少し前に紹介した寺ネコの続きを急げ という声と、先日あった仙台近隣のクワガタ好きの集まりに持参した標本箱の内容を知りたい という声が等分に聞かれるのだけれど、とりあえずネコから出そうと思う。 こちらが猫寺の天麟院。 猫寺 と言ってもこちらで勝手…

寺ネコ 見え隠れ

猫寺での修行を終えた。 ここは天麟院。 最近は猫寺として評判である。 最初は ネコなんかいないけど と思ったが、少し歩くと方々の物陰に猫影が見え隠れ。 札所表示の影にクロ。 隣の隙間からはオチビっ子。 兄弟はカラスやハクビシンに持ち去られ、このオ…

赤い曲刀

涼しくなり、セミの声も消えた。 ところが高い山では、もう何もいないように見えるヤナギなどの枝先へやたらに長い竿の虫捕り網を伸べ、口を半開きにし上を向いて徘徊している人がある。 あぶない。 夏休みならカブトやクワガタだろうが、九・十月になって何…

遠くば寄って…

先日の大きなヒメオオクワガタを捕らえた場所。 数もサイズも出る一角なので、復路でもまた何かついているのでは と帰りに見てみると、やはり。 手前の若木を齧るオスを、藤次郎さんが見付けた。 あからさまに大型個体がついていて、わかりやすさに笑ってし…

巨躯は旧壁を崩す

先の記事で強引に詳細を後回しにした、大きなヒメオオクワガタ。 発見時に遠目から感じた見重りは、取り込んで手に取っても変わらず、他の大型個体を萎縮させるような別格の存在感を放っていた。 もともとヒメオオクワガタは胸部が広く、首が肩に埋まったよ…

自衛的投身

よくクワガタを落っことす日だった。 ishiさん、藤次郎さんのお二人と、高標高地のクワガタムシを見に出掛けた。 朝6:30にishiさんが迎えに来てくれて というと早い出発のようだが、いつも夜明け前に動き出すishiさん基準なら、むしろ遅すぎ…

飲む毒 目の毒

9月に入り、幾らか涼しくなった。 それで高標高地のクワガタにも探りを入れているが、今期のヒメオオなどはスタートが遅いようで、半日くらいポイントを見て廻っても二桁まで見られない事が多い。 そこそこ大きな個体も出てはいるし、発生の中心がズレてい…

羽根を伸ばす日

博物誌の表題を掲げながら、ここしばらくは 「仙台甲虫血風録」 の様相を呈している本誌。 クワガタと追いつ追われつ樹液に溺れるのは毎夏の事ながら、晩夏に気候が落ち着くと共に題材も散らしていこうかと考えている。 芋虫は 「イモムシ」 という種類の虫 …

夏秋すれ違い

日が沈むのを惜しんで夕方まで生き物を眺めているので、余計にそう思うのかもしれない。 まだ暑いというのに、本当に日が短くなった。 お盆くらいから急に目立つようになるのは、ツクツクボウシの抜け殻。 ミンミンゼミと同じような時期に出て、一緒に オー…

尤物のバックボーン

先に触れた通り 先日、藤次郎さんのポイントにいた大きなノコギリクワガタを。 標本として出来上がっても67mmは残るだろう。 例年ミヤマクワガタは多く、また大きい場所だが、大型のノコギリクワガタはあまり見ない。 内歯の空き方や先端の裁ち具合、アゴ…

カブトムシの顔

先日、ひささん、藤次郎さんと出掛けた時の事。 藤次郎さんがついでで寄った小ポイントにもちょっと虫はついていて、すぐにカナブンやカブトムシのメスなどがポツポツと見付かった。 私は、クワガタが見付からないので盛り上がらないなあ などと思いながら、…

猛暑下の転戦

暑い。 灼ける天地に追い込まれ、山通いは逃げ場を探す。 暑い所の人間は手脚が細長く、体表面積が容積に対して大きいので放熱効率が良い。 マサイなどが良い例で、つまり痩せていると暑さに強い。 私の体型はマサイ寄り。 だから暑さに強い。 他の日本人が…

夏の次は夏

その日の仙台は朝からどうも薄暗く、その割にやたらと蒸し暑くて、昼過ぎからは雨と言う予報で全体的に気を削がれる様子だった。 進退を迷ううち、昼近くなると幾らか明るくなって来たので出掛ける事に。 どの道路もお盆で混んでいたが、11時頃には現地に…

カブト回避

クワガタムシを見るに良い時期はいつか と問われれば、 「 夏休み!」 と即答したくなるところ。 ところが、例年子供たちの夏休みが始まって真夏になると、全体的に見てノコギリクワガタやミヤマクワガタといったクワガタムシの花形は、やや数が少なくなって…

夏のレイトショーへ

毎年8月5日には、仙台七夕の前夜祭として盛大に花火が上がる。 義蜂さん ( gibachinamazuさん ) が今回撮ってきた 素晴らしいカット を見せられ、夏の夜も良いものだとつくづく思った。 明るい真昼だけでなく、夜陰の濃密な暗さとのコントラストあってこ…

日本代表

同じ仙台の 「 東北の温泉バカ 」 こと Kenさんは野鳥に強い方だが、山で会うものは虫を含めて広く扱っておられ、大きなミヤマクワガタや樹液に来たルリボシカミキリなどの興味深い記事を突然放り込んでくるので油断ならない。 少し前にはオオムラサキの…

ヒメオオ ミヤマ絡み

前から少し触れている、藤次郎さん取って置きのミヤマクワガタポイント。 藤次郎さんと二人でそこをishiさんに紹介したのが7月22日(未掲載)。 その翌週末、 「 取って置きには取って置きを。」 という事なのだろう。 今度はishiさんがヒメオオ…