猛暑下の転戦

 
                 暑い。
                 灼ける天地に追い込まれ、山通いは逃げ場を探す。
 
 
 
 
 
イメージ 1
 
       
 
 
 
 暑い所の人間は手脚が細長く、体表面積が容積に対して大きいので放熱効率が良い。
 マサイなどが良い例で、つまり痩せていると暑さに強い。
 私の体型はマサイ寄り。
 だから暑さに強い。
 他の日本人が総熱死しても俺だけは大丈夫。
 夏生まれだし大丈夫。
 クリームソーダ飲みたい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 ここしばらく、夏でも比較的涼しい と言われる仙台でも、34℃以上の猛暑が続いた。
 年ごとの夏と四ツに組み捻じ伏せてきた私もさすがに草臥れ、冒頭のような自己暗示も虚しく、早目に山から引き揚げる事が多かった。
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 2
 
 
 
 この日もひささん、藤次郎さんの お二人を道連れに午前中はそこそこ踏ん張ったものの、隙の無い焦熱地獄に足が進まず、やがて日陰に逃げ込んだ。
 
 酷暑ゆえか涼しい樹液周りもやや淋しかったが、普段甲虫に追いやられるタテハチョウの類が落ち着いて吸汁する姿が見られた。
 翅裏の保護色がよく効いたルリタテハは、固まりかけた樹液に口吻を挿していた。
 
 
 
 
 
 
イメージ 6
 
 
 
 
 
 
 羽根を開くと名前の通りの瑠璃色。
 光線の具合により、地色が鈍い金緑の輝きを帯びる。
 
 樹液に来ていると鈍感になって触っても逃げないスミナガシやオオムラサキなどに較べて、ルリタテハは敏感で、接近しようと思ってもすぐに逃げてしまう事が多いようだ。
 この個体は珍しくリラックスしており、交替でカメラを向けても羽根を開いて見せてくれた。
 
 今年は少ないと思っていたスミナガシも、ようやく遅れて出てきたようだ。
 
 
 
 
 
 
イメージ 3
 
 
 
 
 やはり夏なのでクワガタが見たい、と午後からは藤次郎さんの持ち場へと移動。
 するとポイント入り口付近、いつもカナブンや小さなクワガタが沢山とまっている小さなクヌギの木を見た藤次郎さんが、ノコギリクワガタの姿を発見。
 
 小さな木と言えちょっと高めの位置だったが、ここのノコとしては大きく見える。
 
 「 大きいなあ! 」
 「 いや、今日はあまりクワガタ見てないし、サイズ感がズレてるだけかな? 」
 「 クロカナブン欲しい! 」
 などと、三人とも暑さで朦朧としながら、一応サイズを確認してみる事に。
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 4
 
 
 
 
 落として見ると、これはやはり立派なもの。
 体幅が広く、よく見る大型 というサイズを一段抜けた感じだ。
 
 左前脚が欠けているが、同類のアゴに折られたのか、それとも鳥にでも齧られたのだろうか。
 私の持ち場で見る大型個体とも雰囲気が違っているのが面白い。
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 5
 
 
 
 
 宮城県らしく太いアゴではあるが、湾曲が浅いと言うか、内側に向けて少し捻り倒したように角度が付いて見える。
 各内歯の先端が断ち切ったように四角いが、よく見ても磨り減っている感じではなく、もとから尖っていなかったようだ。
 
 午前中は着衣の野外サウナで蒸されて、なんら苦行と変わる所は無いようなものだったが、こうした大型個体が見られればそれも報われるというもの。
 
 以前からここを見ている藤次郎さんとしては、クワガタ以外にもオオムラサキマイマイカブリなど多様な昆虫が見られるようになって嬉しいという事だ。
 やはりポイント北西側が今年から大きく拓けて、付近で発生しているミヤマ以外の種類が飛来しやすくなった事が原因しているように思う。
 
 近隣の大型個体に関して、ミヤマはここ藤次郎さんの持ち場、ノコなら私の所で などと考えていたが、そのうち大ノコも大ミヤマもこのポイント一箇所から同時に出るようになるかもしれない。
 
 この日は藤次郎さんが新しく寄った小ポイントで、真っ赤っかの美しいカブトムシも見られたが、画像の容量が一杯。
 今回のノコの計測と一緒に、次の記事に載せようと思っている。
 
 
 数ある樹液ポイントが、年毎に伐られたり乾燥化で衰退して虫の姿を減らす一方で、こうして調子の上向く場所を幾つか確保出来る事は大きな救いだ。
 
 
 
 
 
                                              2012年 8月17日  宮城県