カブトムシの顔
先日、ひささん、藤次郎さんと出掛けた時の事。
藤次郎さんがついでで寄った小ポイントにもちょっと虫はついていて、すぐにカナブンやカブトムシのメスなどがポツポツと見付かった。
私は、クワガタが見付からないので盛り上がらないなあ などと思いながら、それではオオヒラタエンマやアカマダラコガネなど樹液に来る渋い虫はいないかと視線を低くして歩くと、小さなヤナギの地表からほんの10cmほどの位置の日陰にカブトムシのお尻が見えた。
何の気無しに胸角をつまんで手に取ってみると、急に鮮やかな赤色。
最初は日陰で見えなかったのだが、この辺りでは珍しく真っ赤なカブトムシだった。
綺麗な個体なので、木についているのを見た時に写真を撮っておけば良かったと思ったが、遅し。
まあ、足首ほどの低さの日陰についていたものをどれだけ格好良く写せたか となると元より自信も無い事で、隣の木の枝にとまらせてひささんに 「 採集後 」 の写真を撮ってもらい、私はこれ一頭持ち帰って家で撮る事にした。
カブトムシの体色も黒~赤と変異が大きく、また地域によって赤いものばかり出る所もあると聞くが、地元で見ていると足まで赤々としたような個体はあまり見掛けない。
色味は遺伝的に決まっているのだろうけれど、幼虫時の食べ物などにも幾らか影響を受けるのだろうか。
サイズを測ってみると73mmほどと小さかったが、各箇所で均整の取れた綺麗な個体。
こうやって横から見ると、カブトムシは意外に毛深い虫なのだと再認識する。
真っ赤 と言ったが、赤い中に黒色が残る部位というのもおよそ決まっているようで、頭胸角や胸部左右端、また中後脚よりも前脚は暗色である事が多い。
この個体も黒と赤の対比が格好良いと思う。
分岐が深くて広い頭角。
カブトムシの角なんか、大体四つに分かれてて皆どれも同じようなものだろう と思いがちだが、同じポイントについている個体を30頭ほどバケツに入れて並べてみるだけでも、案外形状に個性がある事がわかる。
一斉に逃がすと、あの巨体からは想像しがたい猛スピードで潜り、ほんの15秒ほどもすると尻も見えなくなってしまうから妙に感心する。
腕力のみにては夏の森を生き抜けず。
カブトムシ同士をちょっと比較。
左端は藤次郎さんが採集した個体で、80.5~81mmほど。
真ん中が今回の個体。
他と並ぶと色味の違いがわかりやすいと思う。
右端も今夏の個体で、特に頭角が幅広かったもの。
木についていた時からちょっと違和感があった。
近所だとこうした黒っぽいものが多い。
数多く眺めていると、どれも同じように見えていた種類でも個性というか、個体ごとの顔を感じるようになってくるものだ。
クワガタ狙いには邪魔なカブトムシだが、こうして較べてみると単純な大きさ以外にも見所が出てきて楽しい。
※ 次はノコの記事で、晩にでも。
2012年 8月 宮城県。