ヒメオオ ミヤマ絡み
前から少し触れている、藤次郎さん取って置きのミヤマクワガタポイント。
藤次郎さんと二人でそこをishiさんに紹介したのが7月22日(未掲載)。
その翌週末、
「 取って置きには取って置きを。」
という事なのだろう。
今度はishiさんがヒメオオクワガタの好ポイントを案内して下さるという事なので、前の晩は寝ずに悶え、朝4時に迎えに来てくれたひささんと薄暗い中を出発した。
現地手前より二人で花を掬ったりしながら進み、ポイント直前でishiさん、藤次郎さんと合流。
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「 ここからが例のポイントになります…。 」
とishiさんが示す先には、迫る夏草が幅を半減させた荒れ道。
これぞ酷道と呼びたくなるような、凄まじいルートが延びていた。
この日の目当てがヒメオオクワガタである以上、とりあえずは基本に準じてヤナギの木を注視しながら進むと、ほどなくして一本の枝に黒い虫の姿が。
あの木にいるぞ と四人が近付くが、それぞれ指し示す方向が違う。
私が最初に認めたのはこれ。
日陰に入って黒く見えたので遠目にヒメオオかと思ったが、ミヤマクワガタだった。
高い所についていて、頭を立てて自分で樹皮をかじり樹液を出させているように見える。
ひささんたちは、これと反対側についていた交尾中のペアを見付けていたようだが、いずれにしてもミヤマクワガタ。
大きめなクワガタがついているな と思うと、大概ミヤマクワガタ。
やはりどの個体も自ら樹皮を傷つけている様子。
晩夏からのヒメオオが、そのままミヤマに置き換わったような雰囲気だ。
マイフェイバリットのミヤマが見られるのは嬉しいが、この日は藤次郎さんにヒメオオクワガタを見せたい という目的があった。
ヤナギがミヤマに占領されているなら、ヒメオオは違う種類の木についているかもしれない。
そう考えて三人と別の所を探していると、道の脇に一本のイタヤカエデが。
説明が難しいのだけれど、何か得体の知れない 「 美味そう 」 な感じを受けたので、普段はあまり注目しないカエデだが調べて見る。
するとここにもミヤマ。
パキパキと音がするのでよく見ると、大きなミヤマが今まさに枝をかじっている所。
もうこうなったら今日の自分はミヤマクワガタ専門なのだと割り切るより他なく、ヒメオオを他の三人様に任せ、毛深い外道ばかり追加したのだった。
こちらは花に来ていたハナムグリで、ishiさんが目敏く発見したもの。
頭の形に差があり、鞘翅のツルツル具合も全く違う。
思えばこれも 「 ミヤマ 」 なのだった。
実際にはヒメオオもあちこちについていたのだが、どれも高い場所。
望遠を持たず、ド外道専門の姿勢を固めた私が撮った個体は僅かだった。
一方、ヒメオオ探しが初めてだった藤次郎さんは、ルッキングの要領を速やかに掴んで次々発見していたのでさすが。
生物に対する目の土台が出来ていると、新しい対象への慣れも早い。
当日のヒメオオについては、ひささんと藤次郎さんが綺麗な写真を載せてくれる事だろうから、そちらで御覧頂ければと思う。
この通り、私はふざけてミヤマクワガタばかり追い掛けてしまったが、この場所のヒメオオポイントとしての真価は、今年もまた晩夏以降に発揮される事は間違い無い。
これはishiさんの採集品。
いずれも宮城県内の個体。
右は2007年に他のポイントから得られた個体で、私が同年に採集した55mmとほとんど変わらないくらいのサイズ。
それよりも確実に大きな左の個体が、今回の荒れ道で昨2011年10月9日 ishiさんに採集されたもので、噂になってはいたが写真を載せるのは初めて。
現在展脚中で、飼育中に脱落した右前脚のパーツは残っているので修繕予定だ。
これは、おっかない…。
昨年のヒメオオを整理していて並の大きさに目が慣れている時だと、あまりに太っているものだから黒い爆発に見えるくらいのものである。
やはり採集圧の掛からない場所で観察を続けていると、こういう特大個体に当たる可能性はグッと高まるのだろう。
ishiさんとひささんが、ここを 「 楽園 」 と呼ぶ理由もわかる気がする。
ここで数年やったら、ギネスオーバーとは言わないまでもそれに迫るようなサイズを宮城県から記録できるのではないか などと考えると楽しい。
2012年 7月 宮城県。