二色問題

 
 先日、夕暮に大きなキタカブリが出た場所を藤次郎さんと再訪した。
 さらに大きな個体 とは言わないまでも、このすり鉢状の谷には見所がまだ幾らか残っているだろうと考えての事。
 何しろ前回は日没直後に虫が出始め、写真どころかただ歩くのも手探りに近い状況だった。
 
 
 
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 手前の林道脇からポツポツと当たってはいたが、やはり前回最後に辿り着いた谷が一番キタカブリの棲息密度が高いようだ。
 立ち枯れから集団が出る事が多い。
 
 坑道の端が開いて、そこからゾロゾロ…というパターン。
 
 
 
 
 
 
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 前の記事に使ったのはここのキタカブリだったというわけ。
 採れない時には採れた時の事を思い出して精神の安定を図るより他無い。
 
 一応ここの写真も撮れたし、普段は山のマイマイカブリばかり探している私たちだが、たまにはセオリー通り河川敷でも歩いてみよう とここから移動。
 午後遅くなってから着いた川沿いを探る。
 
 私はしばらく当たりが無く、材の中から何者かが隠したクルミばかり掘り出していたが、ややあって藤次郎さんの声があがったのでそちらへ行ってみる。
 
 
 
 
 
 
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 青いマイマイカブリが出た。
 これは近辺で見られるキタカブリとは違う。
 
 誰だ君は と私が呟いているうちに、藤次郎さんは同じ小さな立ち枯れからもう何頭か見付けている。
 湿度が保たれ、フカフカのフレーク状になった部分に埋もれている事が多いようだ。
 
 
 
 
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 結局前回と同じく真っ暗になった中を (本当に) 手探りで車まで戻り、ここで出た数頭の青いマイマイカブリを藤次郎さんから預かって帰った。
 
 宮城県のコアオマイマイカブリでも南下するにつれて頭胸部の色が紫~青に寄って来るが、この明るい青色やオスでも細い前脚の符節は、どう見ても新潟や長野辺りで採れるミヤママイマイカブリの特徴。
 
 
 
 
 
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 オス前脚裏の繊毛板の有無が、東西のマイマイカブリを分ける大きな違いの一つ。
 まずすぐ近くで採れた左のキタカブリから前脚の裏を見てみると。
 
 
 
 
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 黄色く見えるのが繊毛板。
 大きくしっかり発達している。
 
 
 
 次に右の青い個体を調べると…。
 
 
 
 
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 まったくのツルツルで、繊毛は見られない。
 県内の一部で、よそから移入し定着した個体群が見られ、キタカミミナミマイマイと呼ばれている と話には聞いていたが、これがそうなのだろう。
 
 
 同時に採れたものの中に、どちらともつかない中間的な顔の個体が混じっていた (上の画像三頭の中央)。
 これの前足を見てみると。
 
 
 
 
 
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 脚の裏の様子も中間的。
 
 川岸に沿って何箇所かにキタカミミナミマイマイの集団が形成されていて、キタカブリの領域と接する所では混血が進んでいる という事だろうか。
 あまり簡単に血が混じってしまうのでは、青いマイマイカブリの要素が地元のキタカブリ集団に溶け込んで消えてしまっているはずだろうし…。
 この後も同じ場所を少し調べたので、続きを後の記事で。
 
 
 
 
                                                2013年 1月  宮城県北部。