春を繋ぐ

 
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 ヒメギフチョウの幼虫の食草は主にウスバサイシンだが、仙台ではまだ葉の出ていない地域が多く、雌蝶が産卵するシーンは今年未見。
 
 風に流されながら小径沿いを飛び、時折カタクリの花に降りるというのがおおよその動きだったが、二頭が絡んで飛ぶ所を見ていると交尾行動を取る事がある。
 メスの発生がオスに追い着いてきたようだ。
 
 
 
 
 
 
 
 オスが空中でメスを捕まえて地表に落とし、交接した直後から。
 飛ぶ所を撮っていたので、魚眼レンズをそのまま着けて撮っている。
 
 風の中を歩いて移動し、カタクリの葉上に落ち着く。
 交尾中は飛ぶのも歩くのもメスが先行。
 確かに雌雄両方が頭の方向に進もうとすれば移動できないという事は納得できるが、このような約束がいつどのようにして取り交わされたのか不思議である。
 
 
 
 
 
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 上の動画の後。
 しばらく葉の陰で静止。
 
 このまま交尾終了かと思ったが、この後の強い風で葉から離れて再び移動する。
 
 
 
 
 
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 流れ流れて最後はここに。
 このペアの別カットが先の記事に載せたものだ。
 
 別の斜面でishiさんと見たペアは、草の奥に突っ込んだりカナヘビに狙われたりと多難だった。
 オスはどこを飛んでいようが未交尾のメスを見付けるなり捕まえようとするし、その後で移動するメスはどこへ向かうか判らず、いつも撮りやすい場所へ落ち着いてくれるとは限らない。
 
 
 
 
 
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 交尾後、オスが離れたところ。
 メスの腹部に、オスが作ったスフラギス(交尾付属物)が確認できる。
 
 他のオスとの再交尾を防ぐ貞操帯として機能するもの。
 
 
 
 
 
 
 オスが粘液と腹端の毛を混ぜてスフラギスを作るところ。
 陰になってしまい、形成の様子がどうも見辛いが。
 
 本当は真横から判りやすく撮りたかったが、メスが羽根を開いたので腹端が見える角度は限られてしまっていた。
 
 
 
 
 
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 配偶相手を得られない弱者の血は即絶え、自然の篩に掛けられる事で生物の行動様式は洗練される。
 
 その時代により、地域により。
 氷河期以来の様々な状況をクリアしてきた強者の末裔が彼等だ。
 
 誰に教えられる事も無く雌雄は出会い、冬を耐え春に舞うというプログラムを繋ぐ一節となる。
 
 
 
 
                                     2012年 4月13日、15日   宮城県仙台市