悪女 チャイロスズメバチ

悪女 チャイロスズメバチ
2011/6/24(金) 午後 11:19
 
   
 断続的な雨の中、樹液を出す木の前に張り込んでいると、オオスズメバチに混じって見慣れない種類のハチが飛んできた。
 
 
 
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 やたらに赤茶色っぽく、やや毛深い。
 薄暗い場所を飛んでいると紫色に見えてハチとも思えないような印象だったが、樹液にとまった所を見ると形はスズメバチである。
 
 こうした特徴から、以前から名前を聞いていたチャイロスズメバチという種類ではないかと思い、オオスズメバチと一緒に捕まえてみた。
 
 
 
 
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 後で調べてみると、これがチャイロスズメバチの女王で当たり。
 体長30mmほど。
 
 私が見たのは今回が初めてで、仙台辺りで見掛けたという話を聞く事もあまりない。
 よそでも少ない種類だという。
 
 スズメバチアシナガバチの体色は大概の種類で黄色と黒のツートンカラーだが、本種は日焼けしたような赤茶色で変わっている。
 腹部に縞が無く、黒一色なのも一つの特徴。
 
 少し他のスズメバチの顔と比べてみようか。
 
 
 
 
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 これは少し前にも載せたオオスズメバチの女王。
 
 一番目立つ体のパーツは、この頭部だろう。
 暗い林の中などで明るいオレンジ色は非常に目立ち、遠くからでも動きが確認できる。
 
 
 
 
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 これは近所の公園などでもよく見るキイロスズメバチの女王。
 名前のとおり、明るい黄色に黒いラインが入った顔が凛々しい。
 
 チャイロスズメバチの女王は、このキイロスズメバチや自分たちの近縁種モンスズメバチの女王を殺して巣を乗っ取る事で有名。
 
 
 
 
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 これがチャイロスズメバチ女王の顔。
 やはり変わっている。
 
 明るいと茶色 暗いと赤紫に見えて、スズメバチとしては文字通り異色。
 
 
 
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 各種をきちんと較べた事は無いのでなんとも言えないが、毛の生え方も少し変わっているような気がする。
 
 
 チャイロスズメバチは、先にも少し触れたようにキイロスズメバチモンスズメバチの女王を殺し、その巣にいる先女王の働きバチを使って自分の子供を増やし巣を乗っ取ってしまう。
 
 そのため、越冬明けは他種の巣に働きバチが増える5~7月と遅く、ちょうど今頃の時期。
 
 このような寄生形態は、例えばチョウなどの幼虫・蛹の体内を食って成長するような捕食寄生とは別に、社会寄生と呼ばれている。
 
 
 
 チャイロスズメバチは、近縁のモンスズメバチから分化したのだとという。
 悪女の始祖とも言うべき1頭目の女王個体が原種の中に誕生し、初めて他の女王を殺して巣を奪った日の事が想像されて楽しい。
 
 
 
 
                                         チャイロスズメバチ 2011年6月23日
                                         オオスズメバチ   2011年 6月9日
                                         キイロスズメバチ  2011年5月21日                                        
                                                       いずれも宮城県。 
 
 
 
 旧ブログより↓
 
今度はクイーンキラー・クイーン、というわけですか^^
私は2回ほどしか見てないハチですね。04年の6/18に、灯下採集の時にも見掛けてます。
ホムペの記事に小さく画像がありますが、当時は何ハチか分からなかったな。
顔なんか見ていると、あんまり洗練されてない感じですね。
元々悪役面のハチ界の、さらに大御所的な悪党顔ですわ。
2011/6/25(土) 午前 0:40 gibachinamazu
 
 
チャイロスズメバチですか?
30mmもあるなんて、怖いですね。
でかいのは女王なんですね。
2011/6/25(土) 午前 9:55 ひさ@くわがた
 
 
山間部に多いように感じます。
月山近辺は比較的沢山います!
2011/6/25(土) 午後 2:22 ひろっけ
 
 
義蜂さん、こんばんは。
仰るとおり女王殺し専門で、女王制をひっくり返す種類なんですよね。
どうも妲己西太后といった史上の悪女を連想させます。
灯火に来るのは意外というか…。
これ見た日も暗かったし、曇り専門とか?
元はモンスズメなのでもっと明るい黄色をしていたものが、どこかの時点で暗色を獲得したんでしょうけどねえ。
やはり暗い時に活動したがるから暗い色だったりするのか…?
チャイロスズメの女王が相手の女王を殺す際、その配下の働きバチの攻撃性を刺激しないように、他の種類と違って無臭らしいですね。
化学成分的ステルス作戦とは恐ろしい。
2011/6/26(日) 午前 2:45 weaponshouwa
 
 
ひささん、こんばんは。
チャイロスズメは女王で30mmくらい、ワーカーはもっと小さめです。
普段相手取るオオスズメバチは45mmから50mmに迫る大きさなので、どうしてもチャイロスズメバチ辺りはかわいく見えてしまいますね。
恐ろしいのは慣れ、というか。
私にもハチが怖い時期があったはずなんですけど、採集の対象としてしまってからは逃げるハチ追い掛けてますからねえ…。
2011/6/26(日) 午前 2:51 weaponshouwa
 
 
ひろっけさん、こんばんは。
チャイロスズメバチは山寄りか。
確かに北方系の種類なので、標高が高い所の方が多いのかもしれませんね。
私が樹液廻るというと平地で、ここも全くの低地なので、これまであまり見る機会がなかったのかもしれません。
仙台辺りの低地に定着しているものかどうか、もう少し注意して見ておこうと思います。
2011/6/26(日) 午前 3:00 weaponshouwa