児童生徒理科作品展 仙台市科学館 2

児童生徒理科作品展 仙台市科学館 2
2010/10/11(月) 午後 0:39
 
   
 前の記事からつづく。
 
 仙台市科学館に、小中学生たちの自由研究を集めて理科作品展が催されている。
 自分もこの作品展に出品していた事もあり、子供達が今年作った標本を中心に見てきた。
 
 
 
 
 
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 佐藤君は標本部門の常連。
 
 今年は7月下旬~8月に泉ヶ岳・船形山あたりで集中して採集した成果が大きいようだ。
 画像は旗坂キャンプ場の甲虫で、ミヤマクワガタからクチキムシ、ゴミムシダマシハネカクシなどの小さな虫まで丁寧に集めてラベリングしてある。
 右下には先日紹介したオニクワガタと、我々も同時に狙ったものの見つからなかったルリボシカミキリが。
 だいぶ発生が早かったと見える。
 
 
 
 
 
イメージ 2
 
 
 渋谷さんは利府町 宮城県民の森をテリトリーとして、チョウの標本をまとめている。やはり毎年見る名前だ。
 
 特に目立ったのは、このルリタテハのメス。
 大きく、羽根のシルエットが太った立派な個体だ。
 
 
 
 
 
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 岩崎兄弟は、かつての私と同じく燕沢でチョウを追っているようだ。
 あの近辺では、私は一度だけしか見た事が無かったミヤマカラスアゲハが入っていたので驚いた。
 
 
 
 
 
イメージ 4
 
 
 ガッツポーズの勇壮なタガメが目を引く箱は、青木くんの標本。
 2006年に、その年の宮城県ギネスとなった72mmのミヤマクワガタを入れてきたのが、この子だ。
 
 今年は得意のクワガタを封印して広く特徴的な昆虫を集め、他の子との差別化を計ってきたようだ。
 かなり面白い種類が含まれていたので、以下に数点を紹介しよう。
 
 
 
 
 
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 これはアカエゾゼミ。
 エゾゼミに混じって採れるが、より高標高に生息する。
 
 黒~茶色が濃いエゾゼミに対し、非常にオレンジ色が強い美しい種類。
 
 
 
 
 
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 タマムシアカマダラコガネ
 
 アカマダラは少ない虫で、欲しがる人も多い。
 古くから変わらない周辺環境と豊かな樹液ポイントが両立しないと、なかなか見られないようだ。
 
 
 
 
 
イメージ 7
 
 
 これには驚いた。
 
 マダニだろうか、大粒のダニ。
 昆虫を網羅するからには、ダニでもハエでもおろそかには出来ない、という事なのである。
 
 
 
 
 
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 ヒゲナガゴマフのラベルが付いていたが、これはヨコヤマヒゲナガカミキリのオスだろう。
 
 先日の記事で、8月にようやくメスが一頭だけ採れたのを紹介したカミキリムシ。
 ブナ帯に分布し、かつては珍品の代名詞だった。
 
 
 
 こうして子供達の標本を見比べると、それぞれの行動範囲や興味の対象、性格の差が見えてくるようで面白い。
 
 仙台にジュニア科学サロンでも作ったら、絶対面白いだろうに。
 間違って 「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」 みたいになっても良い。
 
 
 
                            2010年10月10日   仙台市青葉区  仙台市科学館。 
 
 
 
 旧ブログより↓
 
僕の身近な大学の先生にも虫屋さんが数人いますし、虫ブログを色々拝見していても大学の先生やお医者様等が書かれている事が多々ありますよね。
結局、子供の頃にするムシの観察が知的好奇心や探求心の原点となるのでしょうね。
面白い事に、台灣では子供が虫取りをしているのを見るのは本当に稀ですし、大学の先生や学生でも昆虫が好きなんて人は身近にまずいません。
ムシ好きが多いというのは日本人に特徴的な事なのでしょうかね?
2010/10/12(火) 午前 1:06[ Dobo ]
 
 
初めて蝶の標本をつくった時を思い出しました。
ルリタテハはずいぶんシルエットが違います。
ダニには脱帽ですね。
2010/10/12(火) 午前 2:26 雷蔵
 
 
Doboさん、こんばんは。
もともと人間の精神には、細分する物の体系化・バリエーションの極端へ向かう欲求が内在しているんだろうと思います。
豊かな種類数や変異幅、オブジェ性といった要素を備える昆虫は、知的欲求旺盛な人の攻略対象として最適で。
その人の性向と昆虫。
どちらかが先行すると言うより、相互に呼び合い、分かち難く結びつくものでしょうね。
澁澤龍彦なんかその最たる所だろうし、芥川龍之介の子供の頃の日記なんかを読むと、「キアゲハテフと縞ヤンマを捕らへました~」とか書いてあって、なぜか納得したりしました。
研究者は各国にいるものの、日本人の虫好きは特異的と言って良いと思います。
よそだと怖がるか、逆にオヤツ代わりか、という事が多いようだし。
台湾なら種類相も日本と大差ないし、人種的な違いも小さそうですが、そういえば向こうの子供が虫取り網なんか持ってる写真って見た事ないよなあ。
プロの採集人が年季の入ったネット担いでるのは見るけど…。
2010/10/12(火) 午後 8:21 weaponshouwa
 
 
雷蔵さん、こんばんは。
最初はハムシかマルカメムシでも入っているのかと思いましたが、よく見たらラベルに「ダニ」とあって感心しました。
この子は毎年良い標本出すので、マークしていました。
立派なルリタテハを入れてきたのは中学生の女の子でしたね。
同じ県民の森で、かつて自分も大きなメスを採ったのを思い出しました。
2010/10/12(火) 午後 8:26 weaponshouwa
 
 
おぉ! これは見事な標本ですね~(汗)
個人的にはアカエゾゼミとアカマダラコガネに惹かれます。
エゾセミ類は高所に止まることが多いので採集が難しかったのではないでしょうか?
2010/10/15(金) 午後 8:13 ハル
 
 
ハルさん、こんばんは。
アカマダラを採れるポイントって限定されますね。
ライトに来れば少しは数を集められそうですが、私は昼間にしか見た事がありません。
逆にアカマダラさえいれば、そのポイントのミヤマがデカいとも感じていて、個人的な環境指標ですね。
アカエゾゼミはブナ帯でヨコヤマヒゲナガカミキリを探した時にも飛んでいて、太陽を背にすると真っ赤に見えました。
エゾゼミだと細いヤナギを蹴ればボロボロと落ちてくるんですが、アカエゾはどうなんだろう。
蹴って衝撃を伝えられるような細い木がブナ帯に見られないので未検証です。
ライトには一定数が集まるようで、機会があれば何頭か集めて赤化の個体差を見てみたいんですが、私はライトをやらないもんですから…。
この子に会ったら、採集法も聞いておこうかな。
2010/10/16(土) 午後 7:22 weaponshouwa
 
 
こんにちは。
記事の1と2を見て私も直ぐに見に行って来ました。
磯野くんの作品はやはり目に入りましたね。
紫山ってどこだろう?って思った程です。
中には誤同定やセンチ、オオセンチ、フンコロガシとラベルが並んだり、とても面白く拝見しました。
今回初めて見に行きましたが、ヒメオオやヒラタなども並ぶと聞いていたのですが、それはガセねただったのか?それは見つけられなかったです。
2010/10/11(月) 午後 3:20 ひさ@くわがた
 
 
ひささん、こんにちは。
年により程度に差はありますが、数年前までホームセンターの売り物混じりでひどい時期がありました。
県内の各学校から選りすぐった作品群に、宮城県産としてサキシマヒラタやhopeiが平気で混じって来ていたり。
台風で南からやってくる迷チョウなどの記録であれば有意義ですが、子供がせっかく捕まえた大物が実は放虫で差し戻し、というのは笑えないし。
反面、ヒメオオやアカアシ、ヨコヤマヒゲナガカミキリを複数入れた優秀な作品が出た年もありましたね。

センチコガネのラベルミスはあったものの、青木くんの標本は毎年凄まじかったんですよね。
今年はクワガタを封印していたのが残念です。
06年に青木兄弟が箱に入れてきたミヤマの72mmを見て奮起した私は、翌07年に奮起して死ぬ気で山に通って夏の終わりにデカいのを引き当てた、という経緯がありました。
2010/10/11(月) 午後 3:43 weaponshouwa
 
 
今日日の子供の昆虫採集標本は、ほんと立派ですね。
ぼくも小学生のころは、夏休みの作品はいつも昆虫標本でしたが、
こんな手の込んだ物では、到底ありませんでした。
素晴らしいですね!
2010/10/11(月) 午後 7:52[ しんさん ]
 
 
しんさん、こんにちは。
往時に比べて作品の点数は少なくなったようですが、完成度は高くなっているようです。
私が子供の頃には、標本を作って行くと「 買ったんじゃないか 」とか「 親が作ったんじゃないか 」などと疑われて閉口したもので、今ならこの子達と渡り合えて楽しいだろうにと思わずにいられませんね…。
2010/10/13(水) 午後 2:28 weaponshouwa