双剣は庇う

双剣は庇う
2010/9/4(土) 午前 7:39
   
 
 私が普段見て歩く場所でのクワガタの性比はオス9:メス1、あるいはそれ以上の割合で圧倒的にオスの数が多い。
 これとは逆に街灯などへ飛来する個体はメスが多いようだ。
 
 どこでも同数の雌雄が生まれてきているに違いないが、メスは交尾を済ませれば産卵場所を探して飛んで行ってしまうので木に付いている時間は短く、オスはメスが来る短いタイミングを逃さないよう、戦力の限り樹液に常駐したがるのだろう。
 昼間の樹液を見て歩く私が、オスとばかり出会う道理である。
 たまにメスが木についていると、なるほどオスとつがいになっている事が多い。
 
  メスの側にいるオスの主な目的は、メスが産卵場所を探して他所に飛び立つまでに他のオスと交尾する機会を減らし、メスの産卵数に占める自分の遺伝子を持つ子孫の割合を増やす事だろう。
 
 
 
 まあ、人がそこに擬人的な意味を読み取るのは自由。
 見方としてそちらの方が楽しいので、ついつい芝居を付けてしまう。
 
 これはヤナギの高い所に付いていたノコギリクワガタのペア。
 オスは横幅のある大きな個体だった。
 
 
 
 
 
イメージ 1

 
 
 二頭は仲が良く、よその木のミヤマクワガタを写真に撮ってから戻って見ると、まだ一緒にいた。
 
 かわいいなあと思ってポカリスエットを片手に見上げていると、オスが急に頭を上げた。
 次いで、大きな羽音が聞こえて来る。
 
 
 
 
 
イメージ 2

 
 
 大きなスズメバチがやって来た。
 よくは見えないが、やはりメスのいる所からは樹液が出ているのだろう。
 
 ノコギリクワガタのオスは素早く向き直り、臨戦態勢に。
 ノコとしては胴体が分厚いのが見える。
 
 スズメバチはガチガチと盛んにアゴを鳴らし、クワガタを威嚇。
 
 
 
 
 
イメージ 3

 
 
 スズメバチが接近すると同時にノコギリクワガタも踏み出し、バキッと音を立てて空を一咬み。
 これでスズメバチは怖気づき、尻尾を巻いて退散。
 勝負、というほどの事もなかった。
 
 
 
 
イメージ 4
 
 
 今回はスズメバチの羽音が聞こえた段階でノコギリクワガタが反応しており、空中を飛ぶものも眼で捉えて意識している様子が窺えた。
 
 
 
 
 
イメージ 5
 
 
 立派な大ノコを出来るだけ格好良く撮ろうと、二頭がいる木の下でカメラを振り回していると、オスが今度はこちらを睨む。
 
 勿体無いようでもあったが、メスを庇う様子がいじらしく思えて採らずに残してきた。
 
 
 
 
                                               2010年8月13日  宮城県。 
 
 
 
 旧ブログより↓
  
こんにちは^^
クワガタから見ても、スズメバチは目立つ存在でしょうね…。
あれだけ危険な色合いを滲み出している存在ですし^^;
でもまあ、スズメバチの体だと挟まれたら瀕死になる可能性高いでしょうね。
プライド捨て切れず、一応威嚇してみっか?くらいなんでしょうか…。
すぐ去ってるようだし^^;
2010/9/4(土) 午後 3:04 gibachinamazu
 
 
下から眺める大型ノコは、
オオアゴが力強く湾曲してほれぼれしますね。
2010/9/4(土) 午後 5:38[ クリオネ ]
 
 
ほんと立派なノコですね!
いつでも虫の居場所を知っておられる、すごいですね。
採集しなくても十分ですね。
これからもいっぱい良い写真を拝見させてください。
2010/9/4(土) 午後 9:12[ しんさん ]
 
 
義蜂さん、おはようございます。
私がハチに気付くよりも先に、ノコギリのオスが頭を上げたので、結構クワガタは目が良いんじゃないかと思いました。
オオスズメバチの硬くて狭い頭だと、却ってクワガタには鋏みづらいかも知れませんね。
幹から一瞬フワッと浮くように飛んで、クワガタのアゴを避けたり。
中~小型のクワガタがスズメバチに追い落とされる所を見る事もありますが、やはり大きなノコ・ミヤマには敵わないようで、今回も威勢は続かず早々に退いていました。
握力・武装で勝る甲虫に対し、とりあえず一遍脅して相手が退けば儲け物。
駄目なら即撤退、というのがスズメバチのスタンスのようです。
人にもそういうのいますね。
2010/9/6(月) 午前 7:36 weaponshouwa
 
 
クリオネさん、おはようございます。
とりあえず大歯、というサイズからもう一伸びしたノコのアゴのシルエットは素晴らしいですよね。
もう少し格好良く見える角度から撮ってやりたかったんですが、いかんせん高い所にとまっていたもので…。
2010/9/6(月) 午前 7:47 weaponshouwa
 
 
しんさん、おはようございます。
新しく見付けたポイントに通うようになっても、最終圧の落ちる時期に古いポイントへ戻って見ると、案外良い虫に当たったりしますね。
土地ごとの特徴を見るために、大型の個体は標本にしておかなくてはいけないんですが、今回のように雌雄が仲良くしていると躊躇いますね。
どっかでバチが当たりそうだし…。
2010/9/7(火) 午前 9:17 weaponshouwa