夕暮れの決闘

夕暮れの決闘
2010/7/27(火) 午後 4:39
 
   
 先日、雨の中ノコギリクワガタを採りに行った時のこと。
 
 ある木に近付くと、幹のシルエットに違和感を感じた。
 不自然に突き出た部分が動くようなのである。
 
 動く物の正体を見ようとするが、器用に幹の反対側に回り込まれてしまう。
 
 木の周りをグルグル回っているうちに、なにやら動くそれは疲れてしまったのか、ようやく動きを止めて姿を見せてくれた。
 
 
 
 
 
 
イメージ 1
 
 
 ハシリグモの類のメスだろう。
 前に八乙女のマンションのエントランスで見たものも大きかったが、こちらも丸々と太って立派。
 これがクワガタだったらなあ…などと考えてしまった。
 
 
 
 ややあって、夜通しライト無しで樹液周りを観察した7月22日。
 
 暗くなりきる直前、道でクモの姿を見た。
 
 これも大きな個体。
 イオウイロハシリグモあたりだろうと見当を付けるが、様子がおかしい。
 
 
 
 
 
イメージ 2

 
 
 アゴを上げて変な姿勢で歩くと思ったら、下に黒いハチが潜り込んでいる。
 このハチが、大きなハシリグモを引きずって歩いていたようだ。
 
 
 
 
 
イメージ 3

 
 
 ハシリグモ類のメスを餌にする、オオモンクロベッコウのようだ。
 大きなクモに飛び掛かり、足の付け根の神経中枢に麻痺毒を打ち込んで、生きたまま動けなくしてしまう。
 その後で巣穴に運び、クモを自分の幼虫の生餌にする訳だ。
 
 こうして暗くなってからも狩りを行う事は意外だった。
 
 この後は川沿いに向かって行ったので、土手に巣穴があるのだろう。
 
 
 捕食者である大型のクモを、精妙な技術を以て生きたまま子供に喰わせてしまう。
 そういった生態は、知識として頭に入ってはいるが…。
 
 一体どのような本能や衝動が彼ら狩りバチの体を突き動かして、広い森の中から獲物を探し出させるのか。
 また自分の数倍もの体重を持つ相手に立ち向かわせ、毒針を打ち込むべき小さな神経中枢の位置を知らせるものは何なのか。
 
 ハチの狩りを実際目にする度に、却ってその実在を疑ってしまうのは私だけだろうか。
 
 
 
                                              2010年7月22日   宮城県。 
 
 
 
 旧ブログより↓
  
私も同じことを思います。
実に不思議なことが多く、理屈では説明のつかないことばかりです。
でも暗くなってからハチがこうして活動しているものなのですね。
2010/7/27(火) 午後 7:47 オールドパッション
 
 
クモは、未だに苦手です。実家が古い家で、家の内外クモのだらけでした。
2010/7/27(火) 午後 9:53 河内のおっさん
 
 
一度私も見たことがありますが、やはり最初に見たときは「変な動きをするクモだわね・・・?」と思いました。
2010/7/27(火) 午後 10:08 えみこちょ
 
 
こんばんは^^
習性の不思議ってやつですよね。私も常々疑問だらけ。。。
動物ならば、親から教わる機会もあるんですけどね。
昆虫のそれは、親から教わる機会なんてまず無いし。
幼虫期に食ってたクモのことは分かるかもしれないですけど、
毒針をどこに刺すべきかなんて誰も教えてくれないし。。。
余談ですが、ハシリグモ飼いたいんですよね…。
2010/7/28(水) 午前 0:40 gibachinamazu
 
 
咥えるところも決まっているそうですね。
そこを切り取ると、もう持って行かない。
自分の数倍のクモを咥え、垂直の石垣を後ずさりで登るのも
びっくりです。
2010/7/28(水) 午前 10:10 雷蔵
 
 
オールドパッションさん、こんばんは。
成立の過程を検証しようにも、この習性があまりに高度で特化しすぎているので、どこから切り込んで良いやら。
しかし実態は厳然として目の前にあるっていうのがねえ…。
どれほどの大作家でも、これほどのミステリは書けないだろう、とか思ってしまいます。
このくらい暗くなってから狩りバチを見たのは初めてなんですが、意外に日暮れ近くに活動するのかもしれないと、今回思いました。
2010/7/28(水) 午後 11:17 weaponshouwa
 
 
河内のおっさん様、こんばんは。
あまり方々にクモの巣を張られると、森の中でも困ったり。
ただクモの巣が張ってれば、しばらくは人が入ってないのでチャンスでもあるんですよね。
この類のクモは巣を張らないタイプで、獲物に直接飛び掛って捕らえます。
強い生き物ですが、毒針には勝てないようですね。
2010/7/28(水) 午後 11:24 weaponshouwa
 
 
えみこちょさん、こんばんは。
大概は道を横切るところを見かけるんですが、
「ズズッ、ズズズ…」
というような硬い動きで違和感があり、覗くとハチが引っ張っているんですよね。
見るたび、どこからこんなに沢山のクモを見つけて来るのか、不思議で仕方ありません。
2010/7/28(水) 午後 11:29 weaponshouwa
 
 
義蜂さん、こんばんは。
親から教わるのでなければ
「この状況でこう動く」
というプログラムだろう、とか安易な事言う人がいるんですけどね。
じゃあそのプログラムが成立する過程は、というとやはり判らない。話は進んでないんです。
ハシリグモを飼う…?
採ってくれば良いのかな。暑いから持って帰れるかどうか…。
クワガタと一緒に入れたら大変な事になるしなあ。
2010/7/28(水) 午後 11:47 weaponshouwa
 
 
雷蔵さん、こんばんは。
そうなんですよね。
素晴らしく特化した習性ですが、それだけに応用が利かない。
バッタを狩るアナバチなんかだと、獲物の触角を切ると曳けなくなるみたいだし。
このクモも太ってますからね。
人が運ぶなら3~400kg換算くらいだと思いますが、本当に大したもんです。
2010/7/28(水) 午後 11:58 weaponshouwa