A LIMIT BREAKER
超えられないからこその限界というものだが、何か天変的な要因でもあって超えてしまえばそれが現実。
9月近くなってから特大のノコギリクワガタが採れたと聞いた時には、我が耳目を疑った。
その実物を目の当たりにしてさえまだ、何か奇妙な夢を見せられているような気分である。
あまりにもあんまりなので、標準的なノコギリクワガタの顔に覚えのある程度に採っている方には御覧頂き、私と同じように驚いて欲しい。
顔。
複眼後方が著しく拡がっている。
これが山形に多く出る形かどうかはわからないが、少なくともこうした丸く幅広い突起形状は、宮城県であまり見た事が無い。
ちょっと宮城県のものと較べてみよう。
こちらは今年8月14日に宮城県で採れた個体で、およそ同寸の70mmあるものだが、やはり突起の雰囲気が違うようだ。
ひささんの個体の左アゴ。
先端寄りの小歯の出方が凄い。
一旦水平に出てから前方に向かってギュッとカーブしており、七支刀のような印象だ。
同じく右アゴ。
こんな釣り針のような小歯を小歯と呼んで良いものか。
小さなスジクワガタのアゴ、まるまる一本と取り替えてもわからないくらいのものだ。
アゴ先端が欠損しているが、元の形はどうだったのだろう。
欠損端近くが瘤状になりかかっている事から、蛹時には既に変形しており、羽化後に脆い部分が欠けたのではないかとも思われる。