赤くて赤いエゾゼミ

 
 
 ishiさんと高標高地へヒメオオクワガタを見に行って来た。
 
 昨季のように藤次郎さんと三人の目で探そうと前日まで考えていたのだけれど、残念ながら来られないとの事。
 ishiさんと二人でデカいヒメオオを当てて藤次郎さんを驚かせよう などと言っていたのだが、まだそれほど大きな個体には当たらなかった。
 
 
 
 
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 山の道沿いではエゾ、アカエゾ、コエゾと三種のエゾゼミが鳴いている。
 
 画像はエゾゼミで、下向きにとまって鳴いている所。
 驚かすとこのまま落ちてくる事もしばしば。
 
 
 今年は本当にエゾゼミの類が多く、これは2007年と似た発生状況。
 前にも書いたが、2007年と今年の両年に地元で大当たりした虫というと他にミヤマクワガタがいて、エゾゼミとミヤマの出方に何か関係でもあるのかと疑いたくなるくらいどちらも多い。
 
 
  48mmほどの個体を頭に数頭のヒメオオとアカアシを見た所で、道が悪いし時間も足りない… 
 と引き返そうとしたらishiさんの足元から物凄いセミの絶叫。
 
 
 
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 倒れた草の間に引っ掛かり、もがきながら鳴いていたアカエゾゼミ。
 
 ishiさんが拾い上げて 「 はい、セミ。 」 と持って来てくれるのを見ると、遠目からもなんとなく腹側の色が薄い。
 それを受け取り、背中側を返して見るとアドニス型のオスだった。
 
 

 
 
 
 腹部背面が通常の黒ではなくオレンジ色になるのが アドニス型 f.adonis 。
 藤次郎さんが先日採集した中にもこのアドニス型が含まれており、それを聞いた私は 「 いいないいな 」 と散々騒いだものだ。
 それ以降916さんのライトに来るアカエゾゼミを拾いまくったりもしたけれど、どれも通常型だった。
 
 
 エゾゼミのギリギリという低音と違い、アカエゾゼミは高い倍音を含んだビーンという鳴き声。
 コエゾゼミの方に近いかもしれない。
 
 
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 宮城県で見られるエゾゼミの仲間。
 
 左端から2頭がコエゾゼミ。 オスは特に小さなもので、ヒグラシ大の個体。
 
 3~5頭目がエゾゼミ。  左の2頭はこの日ishiさんと高標高地で採集した雌雄ペアで、仙台市内で採れた右の個体(メス)と比べると小さい。
 
 6~8頭目、右側の3頭がアカエゾゼミ。  左からアドニス型、通常型、緑色型。
 緑色型はこの画像だと色がわかりづらいかもしれない。
 ちょっと赤っぽいエゾゼミ くらいに思われがちなアカエゾゼミだが、こうして並べるとずいぶん違う。
 今年くらいから布教の効果が現れ始め、身の回りに本種を気にしてくれる人が増えたのは嬉しい。
 
 灯火ではよく採れるが、持ち帰る際に羽根がボロボロになってしまう事が多く、セミ用に容器を用意しておくと良いかもしれない。
 
 
 
 
 
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 夕方にブナ帯を探すとアカエゾゼミの幼虫が這っているのが見付かり、今年は数頭を持ち帰って羽化を撮影。
 そのうちの一頭が緑色型のメスだった。
 
 
 
 
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 緑色型の個体は、幼虫の殻を脱した時点で既に通常型と色が違っているようで、胸部が緑色をしている。
 
 伸びる前の羽根の色が、青い炎のようで美しい。
 
 
 
 
 
 
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 思えばうまい場所で道が悪くなって引き返し、そこでたまたまishiさんが鳴かせてくれたくれたおかげで見付ける事が出来たこのアドニス
 
 アドニスといえばギリシャ神話に登場する美少年で、明るい赤が売りのアカエゾゼミの中でも一際鮮やかな色をしたこの型にふさわしい名だと思う。

 
 
 
                              2013年 9月1日  宮城県