星二つ

 
 
 少し前に預かった虫の展脚がいくらか進んだ というような話を藤次郎さんとの電話でしていて、アカエゾゼミの話題に。
 昼にブナの森で探すと高い所にとまっていて手が出せず、ギリギリビーンという声を聞くだけで… というような事を話すと、藤次郎さんは 「 916さんも言ってたけど、ライトに来るエゾゼミの中に赤っぽい奴は混じってるよね。」 などと言う。
 
 先日からミヤマダイコクコガネやヒゲナガカミキリなど、灯火に来た格好良い虫を見せられていた事もあり、近くライトトラップを張る人はいないかと藤次郎さんに尋ねると 「 いや、今から916さんと行くんだけど 」 などと言うので、出発直前に同行許可をねじ込ませて頂いたのだった。
 
 
 
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 916さんと息子さん、藤次郎さんと共に北上し、若干の下見を経てライトの設置場所を決定。
 
 昼の猛暑を引きずって日没後も気温は高いまま、風もほとんど無いという好条件の中、916さんが発電機を動かしデカいライトを点灯させる。
 ほどなく小虫がライトの前に飛び交い、徐々に大きな虫の落下音が混じり始めた。
 
 クワガタムシはアカアシから先に来るパターンで、どの種もおよそ ♂3:♀7 ほどの割合。
 
 
 
 
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 「 わーッ! 」 という悲鳴に振り向くと、916さんの息子さんが肩にミヤマクワガタを付けていた。
 いきなり大きな音をたてて飛んできた上に本人から見えないところに張り付いたので、正体がわかるまでは確かに怖いだろう。
 
 このあと、藤次郎さんの尻めがけてノコギリクワガタが一直線に飛んでいくのも見えた。
 
 
 
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 この日はヨコヤマヒゲナガカミキリも多かった。
 仙台市周辺で見る個体よりも白っぽいものばかりで、どちらかと言えばこれが標準的なのかもしれない。
 
 なぜかヒゲナガカミキリはメスだけ来ており、いつもヨコヤマヒゲナガのメスがライトに来ないのは不思議だと思う。
 
 
 
 
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 21:09 本命、オオクワガタのメスが飛来。
 目の早い藤次郎さんが見つけて声を上げた。
 
 元気良く歩いており、飛んでいってしまいそうで怖かったが写真を撮らせてもらう。
 
 916さんが 「 これで安心した、もう帰っても良いか… 」 と呟いた。
 
 
 
 
 
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 オオクワガタ回収。
 
 早く捕まえたい子と写真を撮りたい人の睨み合い。
 
 
 
 
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 オスのクワガタムシは少ない とは言うものの、好条件下で分母が大きいので割と良いペースで飛来してくれる。
 ライト周りの地面に大きな影を伸ばし、ミヤマクワガタがのしのしと歩いているのを見ると嬉しい。
 
 知り合いの男の子がアカアシクワガタを欲しがっていたので、飛来したものの中から50mm手前の大きな個体を一頭頂いた。
 
 
 
 
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 22:23 虫の飛来数が少し落ち着き、ライト周辺をチェックして廻る足をとめ、この日の状況について少し話していると、916さんがライト向かって左側に落ちている大きなクワガタのメスを見付けた。
 たくさんのブナハムシにまとわられ、ひっくり返ったその個体を見て、藤次郎さんも 「 それ、そうじゃない?」 などと言う。
 
 ミヤマのメスのようにも見えたが、近寄ってよく見れば二頭目のオオクワガタ。
 一頭目よりも二回りほど大きく太ったメス。
 
 この日はこれ以上は望めないという好条件ではあったが、これでオオクワガタが来てくれなければ寂しさは倍増したはず。
 本命の飛来は昼の樹液、普通種専門の私からしても非常に嬉しい。
 
 
 
 
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 画像の上半分がこの日の採集品。
 
 やはりアカエゾゼミは多く、エゾゼミと半々くらいの割合。
 他にはヒゲナガカミキリのメス、ヨコヤマヒゲナガカミキリのオス、ミヤマダイコクコガネ、(藤次郎さん一推しの)コカブト、オニクワガタ、変わったところではミミズクも来ていた。
 
 
 
 
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 一時かかったガスが晴れ、この空。
 
 豊果を記念し、天の川をバックに30秒開けて撮ってきた。
 左から916さん藤次郎さん、私の順 ( 平和な地球に悪いウルトラ兄弟が攻めて来た という風情でもあるが )。
 
 お二人と夏の天地に感謝したい。
 
 
 
                             2013年 8月13日  岩手県