小さい 青い

 
 
 
 
 6月下旬。
 ishiさんが(けっこう無理して)山形へ連れて行って下さるというので、藤次郎さんと共に素早く後へ従った。
 
 今回の目当てはコルリクワガタ。
 現地でグイグイ標高を上げ、若いブナを見回して青い姿を探す。
 いない。
 
 開きかけたブナの新芽をかじる本種だが、周囲の木は芽が開ききったり既に葉が伸展していたり。
 かと言って、閉じている芽を見て見ると、まだ鞘を被って堅く閉じたまま。
 おかしな話だが、どの木も時間がバラバラに進んだように芽の状態が遅いか早いかで、ちょうど良い具合の木が少ない。
 
 
 
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 残雪にミズバショウ、もう時期が遅い という事まではないと思うのだけど。
 
 藤次郎さんは今日初めてコルリクワガタが見られる と勇んで来ているのだし、何とかならないかと焦り始めたところに、雨。
 
 
 
 
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 いつもはうるさいくらいの合唱を聴かせるエゾハルゼミも、寒さに沈黙。
 低い所の葉にとまったり、道にベッタリと這いつくばっていたり。
 
 カメラを雨からかばったり、花を掬ってカラカネハナカミキリを得たりしながら道を奥へ。
 
 
 
 
 
 
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 日が翳って断続的に小雨の降る中、藤次郎さんの少し後ろを歩きながら右手の若木を眺めていると小虫がゆっくりと飛来。
 折れた小枝がクモの糸でぶら下がった所にとまったのが上の個体。
 
 藤次郎さんを呼ぶと
 「 そうか、いるのか… 」
 と呟いて、また先へ。
 意地でも自分で見つけたい という事だろう。
 
 
 
 
 
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 もっと季節の進み具合が良い所を探そう と来た道を下って戻ると、先を行く藤次郎さんが何かを見付けて立ち止まった。
 これは と近付くと、低い枝にコルリクワガタのペアが。
 
 これで目的は達成。
 日差しも戻り、ishiさんは慣れているだけあって、やたら遠くの枝から追加個体を発見していた。
 
 
 
 
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 午後になるとオスの飛来もいくらか増えて、いつものように細枝上を行き来する姿が見られる。
 全体に早い 遅いと言うよりも、場所によって発生時期にバラつきがあって個体数がやや少なめという印象だった。
 
 
 
 
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 この時期は毎年のように雨に降られ、今回撮ったコルリクワガタも水滴を背負ったものが多かった。
 
 小雨がやんでサッと陽が差すとすぐに飛んで来る辺り、こうした山の天候にも対応した種なのだろうと思わせる。
 
 
 
 
 
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 クワガタの売りと言えば、普通はノコギリやミヤマといった大型種の勇壮な姿だろうけれど、この1㎝大の宝石も 「 クワガタムシ 」。
 
 この青に、変異・分化のダイナミクスが垣間見える気がする。
 
 
 
 
 
                              2013年 6月22日  山形県