瑠璃色滴る コルリクワガタ

 
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 6月17日はishiさん、ひささんと山形へ。
 「 父の日に 」 として採集行の権利 (夕方まで) を御家族から頂いたishiさんに同行。
 
 山形の少し高い所には雪がまだまだ残っていて、その場全体の雰囲気は仙台の4月初めくらいの感じ。
 日の当たる部分から雪は溶け始めるので、日陰との境界ではエッジの利いた面白い形の溶け残り方をしているのを見る。
 
 これは雪の壁の前で立ち往生するアカハライモリ
 道の脇にカタクリが咲いているのを見たりすると、この辺りはこれから春なのだという事を実感する。
 
 雨混じりだが気温はそれほど低くない という微妙な天候で、採集時の障害を精神的に無効化可能な我々は当然進む ( 大概ツケは後で回ってくる )。
 
 
 
 
 
 
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 この日の目的は木の芽の先についている青い虫。
 ユキグニコルリクワガタ。
 
 ishiさんとひささんは、以前からこの場所でこの虫を確認しているので
 「 おお、いたいた。」 などと落ち着いたものだが、新芽に集まるルリクワガタの類は日照が無いと見られないと考えていた私は、雨の中で一度でもコルリクワガタが見られれば上等 と喜んだ。
 
 
 
 
 
 
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 同じペアに寄った所。
 青いのがオスで、頭を新芽に突っ込んでいる太った方がメス。
 
 1cmもないような小さい虫だが、ブナの幼木を見て回るishiさんとひささんからは
 「 いた!」 「 こっちも!」
 という声が次々と聞こえる。
 
 
 
 
 
 
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 前日に帰りそびれたのか、小枝にしがみついたまま寒くて動けない個体が、全身に細かい水滴を付けていた。
 夜霧の後に雨粒を背負ったものと見える。
 
 オスは青くメスは銅色。
 同じオス同士を較べると、真っ青なものと少し緑がかったものがいる。
 また、ひささんが極端に大きな個体を一頭見付けていたので、小さいなりに体長の変異幅があるようだ。
 
 
 
 
 
 
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 メスが齧った新芽に、アリも相席。
 
 新芽に潜り込んだメスには大概オスが寄っており、メスが単独でいても周りをオスが飛び回っていたりする。
 飛来したオスは触角をヒラヒラさせているのを見ても、メスはフェロモンでオスを呼んでいるのだろうと思う。
 
 交尾中の個体は触っても逃げないくらいだが、枝を歩いているものなどは割と敏感で、パッと見えなくなってしまう事がある。
 足元を探しても見付からず、どうやら落下中に開翅し飛び去っているようだ。
 
 
 
 
 
 
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 この日のように暗いとストロボ無しで小さな虫は写しづらいが、ストロボを使えばこの虫本来の青味が消えてしまうようだ。
 光沢の強い甲虫は皆そうだが、この虫は特に。
 
 これは一度薄日が射した時で、他の画像よりは幾らか人の見た目に近い色だと思う。
 もうちょっと頭の方にピントを…などとやっているうちにすぐまた日が翳り、やがて豪雨となってしまった ( それでも探していたけど )。
 
 写真の欲を言えば晴れて欲しかったけれど、雨の日にちょっと探して50頭ほども見られたのだから、まずコルリクワガタには感謝しなくては と、雨の中三人で頷き合った。
 
 この後、夕方には仙台へ戻り、往復運転して頂いたishiさんは
 「 これから家族を買い物に連れて行かなくちゃ。 」
 と、柔弱な私には信じられないような事を言い残し、颯爽と帰って行かれた。
 
 タフでなくては虫は採れない。
 
 
 
 
                                               2012年 6月17日  山形県