保護色の解体
急にまとまった雨が降ると小さな流れを作り、晴れると水が引いて、道沿いに細長い砂地が残る事がある。
それに沿って歩くと数頭の虫が足元から飛び立ち、それぞれ少し離れた所に降りた。
そのうちの一頭が降りた場所に見当を付けて近付くと、小さな甲虫がじっとしているのが見える。
![イメージ 1](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/weapon-shouwa/20010101/20010101014450.jpg)
ニワハンミョウだった。
春過ぎになるとよく林道で見かける種類。
本家の(?)ナミハンミョウに較べると地味だが、羽根を広げて飛ぶ時などは、腹部背面が緑色に輝いて美しい。
周囲にいる数頭の個体を見比べると、緑色のものから黒っぽいものまで色味の差があるようだ。
![イメージ 2](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/weapon-shouwa/20010101/20010101014500.jpg)
地味 とは言ったものの、拡大すると壮絶な色彩の嵐。
鞘翅一面に無数の青い弾痕が刻まれている。
どこかでこんな色の鉱物標本を見たような気もする。
![イメージ 3](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/weapon-shouwa/20010101/20010101014510.jpg)
こうして少し引いて眺めると、砂粒のクリーム色まであしらった見事な保護色。
普段の活動場所である石混じりの砂地によく溶け込んでいて、とまった所がわかっているはずなのに見付からない事もある。
![イメージ 4](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/weapon-shouwa/20010101/20010101014520.jpg)
青紋の並びは、グラスに注いだソーダの泡のよう。
渋い保護色をちょっと解体すると、すぐに極彩色が溢れ出してくるというのは面白い。
これが光の断面、視覚の材料とも言えるだろう。
寄れるカメラならどの機種でも同じように撮れるので、近所で見掛けるハンミョウの類をみんなで撮り較べて見たら、他にも意外な色と模様が見られると思う。
2012年 5月 宮城県。