緑の黒髪

 
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 小山の頂でアゲハチョウを撮ろうと強烈な日射を浴びながら待っていると、キアゲハやナミアゲハといった黄色いアゲハチョウたちに混じり、黒く大きな影が崖の縁をよぎる。
 カラスアゲハだろう。
 
 黒地の翅表に金青緑の星を散らした美しいチョウだが、飛んでいる所を下から撮るとただ黒い裏側しか写らない。
 これがキアゲハやナミアゲハなら、先の記事のように羽根の黄色い部分が光を通すので、速いシャッターのストロボ無しでも模様が写ってくれるのだが。
 
 明るい空が透けないよう斜面をバックにしてストロボで停めようと思うのだけど、山頂に集まるアゲハチョウは大概樹の梢あたりの高い所を飛ぶもので、その上から羽根の表を撮るのは難しい…
 などと泣き言を言っても始まらないので、とりあえずやる。
 
 
 
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 飛んでいるところは、あまり良い写真にならなかった。
 撮れることは撮れても、表の青や緑が見えるように羽根が写ってくれない事が多い。
 
 この時は突然低く飛んでくれたのに焦り、ストロボで流し撮りという意味不明の行動に。
 表の色が少しだけ見えている。
 尾状突起まで十分に青い鱗粉が乗った美しい個体で、もっと綺麗に撮ってやりたかったが、このあとはずっと遠い所を飛んでいた。
 
 
 
 
 
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 「 カラスアゲハ 」 という名前を聞いて、黒一色のアゲハだろうと見限っている方もいるかもしれない。
 このチョウ本来の色彩を見てもらおうと思い、捕らえて間近に。
 
 カラスの濡羽色 という表現もあるように、遠目にただ黒く見えるカラスだが、よく見ると日のあたった羽根に緑や紫の幻色を見える事がある。
 このチョウに カラスアゲハ の和名を与えた人の感覚は鋭敏で豊かだったのだろう。
  
 
 なるべく綺麗な個体を示そうと思い、山頂に飛来するカラスアゲハを採っては逃がし、採っては逃がし。
 青味の強い個体が多かった中、画像の個体は特に緑色が濃かったもので、春山の生気が匂うようだ。
 
 他のアゲハにくらべて発生はやや遅めのようで、仙台ではまだ美しい春出の個体が飛んでいる。
 近所の小さな公園でも見られる種類なので、黒いチョウが花に来ていたら近寄って羽根の色を確かめて見ると楽しいと思う。
 
 
 
 
                                              2012年 5月13日  仙台市