虹を一滴

 
 
 しんさんは釣りが達者な上にお住まいが郡上。
 これはニンジン畑でウサギを飼うようなもの、今月に入り早くも長良川でアマゴを釣り倒していらっしゃるようだ。
 
 釣魚のみならず生き物全般に通じているしんさんが、少し前に妙な虫を見たと言う。
 薪を積んであった所にテントウムシみたいな形のものがいて、どうも色が変わっているらしい。
 私が夏に見た虫のうちに心当たりが…。
 
 写真を見せてもらうと思った通りで、私が見たのとしんさんが見た虫は同種だった。
 
 
 
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 このテントウムシに似たフォルムの丸い虫は、ニジゴミムシダマシ
 私が夏に見るのも、貯木場のような場所である事が多い。
 
 小さくて厚みのある虫なので、深いピントを稼ごうとストロボを使うと、名前の由来である美しい虹色の再現度は今一つ。
 
 
 
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 こちらは近縁のナガニジゴミムシダマシ
 材木の断面から生えた小さなキノコに口を付けていた。
 
 ニジゴミムシダマシよりやや大きめだが、それでも1cmほど。
 小さくて綺麗なキマワリ、といった風情。
 
 やはりストロボを使ったので、せっかくの分光が飛んでしまった。
 
 
 
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 それでは、とピントの深度を犠牲にし、虫が立ち止まるのを待って自然光で。
 野外の実物はこんな感じに見える。
 
 シャボンのような虹色に、左右対称の斑紋が浮かんでいる。
 これほど美しい虫の名が 「ゴミムシ」 とか 「ダマシ」 といったおよそ美しくないフレーズで構成されている事には何か理不尽を感じるが、分類・命名はその種の所属に習えというような所があるので仕方ない。
 
 
 
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 よく見ると一頭ごとに色彩と斑紋のパターンが異なっているので、たくさんいる場所で何頭か撮り貯めておき、後で見比べてみると面白い。
 
 海外の派手な昆虫に比べ、日本国内の種類は地味なものが多いように思うが、この虫の美しさは世界レベルにあると言って、決して言いすぎにはならないだろう。
 これが指先ほどの小さな虫でなければ、タマムシの代わりに厨子の材となって法隆寺に納められていたのではないかと思う。
 
 
 
 
 
 
                        ニジゴミムシダマシ     2011年 7月31日 
                        ナガニジゴミムシダマシ  2011年 8月11日  いずれも宮城県