天地の目

天地の目
2011/5/12(木) 午後 8:29
 
   
 山の湿地に綺麗な虫がいる、と話には聞いた事があった。
 発生期の五月に差し掛かり、ブーツが沈むぬかるんだ場所で足元を眺めていると、確かに何か動いている。
 
 
 
 
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 これが目的のオオハンミョウモドキ。
 
 小さなパッとしない虫が 湿地の日陰をチョロチョロと歩き回っている
 としか見えないのだが。
 
 
 
 
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 光が当たると、聞きしに勝る目映さだ。
 
 鞘翅に埋め込まれた象嵌の青色が鮮やか。
 ルリクワガタやルリハムシも 「青い虫」 だが、それらの光る甲虫たちによく見る金属光沢とは違う、天藍石のような優しい青。
 
 こうした深く正直な青色を造る種類は、他にあまりいないように思う。
 
 
 
 
 
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 「ハンミョウモドキ」 というだけあり、大きな複眼の目立つ顔付きや 細い脚の様子などはハンミョウ的。
 類縁はオサムシやゴミムシの仲間。
 北海道のアナバネゴミムシに似ているように思う。
 
 普段何を食べているのかわからないが、おそらくこの鋭いアゴで小さな虫に噛り付いているのだろう。
 脚が速くてなかなか立ち止まらないので、結局まともな写真は撮れず。
 あまり意地になって追い掛け回すと湿地の泥に膝下をそっくり飲まれ、最悪はゆっくり死ぬ事になる。
 
 
 
 
 
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       それにしても見事な彫金。
 
 
 
 
      連想するのは、遠い宇宙に浮かぶ こと座のネビュラ。
 
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      地上に於いて思い出すのは イエローストーンの天を見る眼。 
 
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                微細な虫の背中から遠い宇宙まで、同じ目が見ている。
 
 
 
 
 
                                     2011年5月11日  宮城県黒川郡 大和町。 
 
 
 
 
 旧ブログより↓
 
初めて知りました。
綺麗な虫ですね。小さいようで少し残念です。
2011/5/12(木) 午後 9:11 ひさ@くわがた
 
 
そうなんですよ。不思議な宝石のようでした。生きているのはやはり一段ときれいですネ。
こちらは、名前にたどりつくまで大変でした。
ポチッ!!
2011/5/12(木) 午後 10:47[ yankou06 ]
 
 
凄いね!遠い宇宙からイエローストーンまで
行っちゃうとは!!
でも、そう感じさせる素敵な昆虫ですネ!!(ポチ)
2011/5/12(木) 午後 10:55 東北の温泉バカ
 
 
すごいっ! 日本にこんな美しい虫がいたなんて知りませんでした!
ありがとう!! ポチッ!
2011/5/13(金) 午前 1:43[ ヒヨドリ ]
 
 
まさに、身に宇宙を宿したような神秘的な虫ですね。
顔つきもGOO-です!
岐阜県にもいますかね~?
2011/5/13(金) 午前 9:28[ しんさん ]
 
 
以前からWeaponさんが昆虫沼にハマっていることを重々承知してますが、
本当に泥沼にハマるとは…^^;
この虫の模様と色って、実際何の役目を果たしているのかな…。
同種同士の確認とかにはなるんだろうけど…単なる模様じゃなくて装飾ですね^^
2011/5/13(金) 午後 10:49 gibachinamazu
 
 
ひささん、おはようございます。
細部に宿る神の御業、という奴でしょうかね。
5×3mmほどの小さな背中に精巧な彫金。
物理世界は手抜き無く形作られているのだと思わされます。
2011/5/14(土) 午前 9:20 weaponshouwa
 
 
yankou06さん、おはようございます。
肉眼だとなかなか背中の彫刻にまでは気が付きませんからねえ。
一番最初にこの虫の背中を拡大して見た人は、どれだけ驚いた事でしょうか…。
オオハンミョウモドキって言われても、普通は
「何それ?」
って感じでしょうからね。
個人的に、もっと広く知られても良い虫だと思います。
2011/5/14(土) 午前 9:29 weaponshouwa
 
 
Kenさん、おはようございます。
最初見た時に
「何かに似ているな」
とは思っていたんですが、近くて小さな物と遠くの大きな物が似ていたんですよね。
実寸など大した問題では無い、と思わせるような素敵な種類だと思います。
2011/5/14(土) 午前 9:39 weaponshouwa
 
 
ヒヨドリさん、おはようございます。
確かに日本の虫離れしていると言うか、いっそ現実離れしていると言うか…
こういう綺麗な種類を見ると、他にも小さな生き物の美しさを見逃しているのではないかと心配になります。
見逃したまま絶滅させてしまうのではないか、とか…。
2011/5/14(土) 午前 9:50 weaponshouwa
 
 
しんさん、おはようございます。
小宇宙を背負っているんですよね。
五分の魂どころの話ではない…
ハンミョウモドキの類は北寄りで冷涼な所に分布しているからなあ。
オオハンモドの分布は関東以北。
近い種類のコハンモドで中部以北になっています。
機会があれば標本なりとお目に掛けたいんですが…。
2011/5/14(土) 午前 10:46 weaponshouwa
 
 
義蜂さん、おはようございます。
昨日靴洗いました…。
片足でも泥に嵌り込んでしまうと、引き抜くために踏ん張る足が嵌るので、結局速やかに死を待つ態勢が整いますね。
小さくて脚の速い虫が泥の上を走り回るので、採るなら容易いものの、撮るのは至難です。
背中の模様は何なんでしょうねえ。
イボカブリモドキなんかもこんなパターンだけど。
湿気を蓄えたりするんだろうか…。
そもそも全ての形質に理由があるだろう、というこちらの考え方が甘いのかもしれませんが。
2011/5/14(土) 午前 10:55 weaponshouwa
 
 
きれいですね。
Weapon昭和さんもコメントで書いておられますが、マクロコスモスとミクロコスモスの照応を思ってしまいます。
2011/5/14(土) 午後 1:10[ anamnesis1964 ]
 
 
anamnesis1964さん、こんばんは。
人間 どうしても自分の大きさを基準に世界を見ようとしてしまいますが、こういうものを見ると基準とか中心なんて あまり大きな意味を持たないんだと思わされます。
巨大なもの、微細なものから自分がどう見えるか想像してみるのは楽しいですね。
2011/5/14(土) 午後 6:37 weaponshouwa