寝カブリ

寝カブリ
2010/11/22(月) 午前 0:29  
 
 
 11月17日の採集。
 マイマイカブリを狙いのメインに据え、枯木の中から虫を探した。
 
 何と言っても未熟な私はムカデやクモ、カエルなどの面々を掘り当ててしまい、
 「 昆虫まであと一歩 来学期はがんばりましょう 」
 といった所。
 
 虫が出なければ、やっている事は枯木を割る単純作業であり、雑な薪割りと何ら変わる所は無い。
 いつしか私は、右手で振るうピッケルをどれだけ深く枯木に打ち込めるか、というバガボンド的な無私の境地に達していた( あまり意味は無い )。
 
 
 
イメージ 1

 
 
 これは最初に廻った河川敷で出たマイマイカブリ
 まだ土付き。
 
 斜面で枯材を割ったのとは少し要領が違い、倒れた木の混み入った根に残った土をほぐしたりしても出てくる。
 
 
 
イメージ 2

 
 
 オスだと背中にもっと緑色が出るのだが、これはメスで緑味は弱い。
 その代わりに、体格が立派。
 
 日が当たっており、体温が上がるとすぐ活発に歩き回り始めてしまう。
 飛べない虫なので、空に逃げる事は無いのが救い。
 
 
 
 
イメージ 3

 
 
 長い首。
 カタツムリの殻に頭を突っ込んで食べるための適応だと言われる。
 
 実際にカタツムリを食べているマイマイカブリも観察されるし、そうしたシーンの写真は絵になり説得力がある。
 とは思うのだが、実際はどうか。
 
 海外の同類には、さらに首の細長いバイオリンムシなども知られるが、この種は別にカタツムリを食うなどせず、特に長い首を活用している感じではない。
 
 マイマイカブリについても、カタツムリを食うために首が長くなったと言うよりは、
 「 たまたま首が長かったから、ついでにカタツムリでも食ってみっかな。」
 といった所が実態ではないか、という気もするのだ。
 
 もちろん現在では脱皮・生殖にカタツムリ食が欠かせない体質になっているのだけれど、それと首の伸長とのいずれが先だったかは別の話であり、確かめられていない。
 意味付けをせずにはいられない、という人間の悪い癖を念頭に置いて考え直してみて良いだろうと思う。
 
 
 
イメージ 4

 
 
 だからと言って 「 来年からこの虫の名前はクビナガムシに変更します 」
 と言われても興醒めだろうし。
 
 「 マイマイカブリ 」 という、この格好良い和名に文句は無い。
 
 赤ん坊が吐き戻したミルクのような臭気を出す事があるのには用心だが、もう慣れてしまった。
 あとは掘るだけ。
 
 
 
                                             2010年11月17日   宮城県。 
 
 
 
 旧ブログより↓
 
マイマイカブリも、昆虫が少ない時期は貴重ですネ!
それにしても、生き物たちの色合いはキレイです。
昆虫採集も知識と経験、それに感も必要でしょうか。
2010/11/22(月) 午前 6:39 東北の温泉バカ
 
 
お~! やっぱり大阪のマイマイカブリと較べるととても美しいですね!
オサムシにも、きれいなのが居そうですし・・・これからの季節も楽しみですね!
2010/11/22(月) 午後 5:04[ ヒヨドリ ]
 
 
大昔子供の頃、カミキリムシ専門の大学教授と朽木探索に同行した事を思い出しました。
当時全く興味が無かったんですが、私が次々見つける幼虫、成虫に教授が興奮していた記憶が残っています。
今頃の季節だったような。
機会があれば行ってみます。
2010/11/22(月) 午後 10:30 雷蔵
 
 
顔のアップを見ると、すごく立派で個性的な創りなんですね。
色合いも綺麗です。
2010/11/22(月) 午後 10:41[ しんさん ]
 
 
こんばんは^^
実家に居た頃は、庭先によく出没しましたねマイマイカブリ
庭の石積みがカタツムリの絶好の住処だったので、マイマイカブリも必然的に来てました。
色比べとかまでした記憶は無いけれどね^^
飛べない故とは言え、川で隔てられただけで地域変異が見られるのは面白いですね^^
今度見掛けたら画像しっかり撮って、場所ごとに比べてみようかな。
2010/11/23(火) 午前 1:56[ Sakazuki ]
 
 
こちらに来たときに虫仲間がキタカブリが採れるので羨ましいと言われました。
綺麗ですね。
2010/11/23(火) 午前 10:33 ひさ@くわがた
 
 
Kenさん、こんばんは。
冬は大概の虫が卵や幼虫・蛹の姿で隠れているので、こうして寒い時期に親の姿を見せてくれる種類の存在は有難いですね。
「勘」というのもは、身体感覚化するまでに卓越した技術・ノウハウの別称であって、通力的なものからは遠いというか…。
おそらくですが、高度に集積された達人の知識と経験の働きを、それを窺い知る術の無い私のような素人が「勘」と呼び習わす事で安心している。
というのが実情であるというような気もしますね。
2010/11/24(水) 午後 9:00 weaponshouwa
 
 
ヒヨドリさん、こんばんは。
虫は南へ行くほど色彩豊かになるように考えがちですが、ことマイマイカブリに関しては北の方が綺麗な色をしているんですよね。
北で綺麗になるのも不思議だけど、そもそもマイマイカブリが綺麗で何か意味があるのか?
虫屋としてはただ綺麗なものを追うだけ、ですけど…。
2010/11/25(木) 午後 10:04 weaponshouwa
 
 
雷蔵さん、こんばんは。
若くして虫の入った材を当てたという事は、やはり生まれながらに採集のセンスをお持ちだったんでしょうね。
掘る崖や材の選び方は本当に難しくて、昨日私に採れたのはオサムシ一頭だけでした。
虫の気持ちにならなければ虫を見つける事は叶わないようで、これが夏には出来るのに冬はどうも勝手が違って…。
2010/11/25(木) 午後 11:08 weaponshouwa
 
 
Sakazukiさん、こんばんは。
昔はゴルフボール大の立派なカタツムリをよく見かけたような気がしますが、最近じゃあんまり…。
頭部、前胸といった1パーツの中に斑模様が出る地域もあるようで、仙台のマイマイカブリ地図が気になってきました。
夏に見る時とは、全然イメージ違うんですよね。
驚くような色彩・体格のマイマイカブリが、仙台のどこかにいるんじゃないかと考えるのは楽しいと思います。
2010/11/25(木) 午後 11:34 weaponshouwa
 
 
しんさん、こんにちは。
真上から遠目に見ていると、
「ああ、首が長えよなあ…」
くらいにしか思いませんが、至近で向き合って見るとすごい顔してますよね。
複眼、触覚からアゴが一列に収まるような汚れづらい造りなど、肉食性昆虫ならではの機能性も見て取れるし、これが機能美というものだろうと思います。
2010/11/26(金) 午後 3:39 weaponshouwa
 
 
ひささん、こんにちは。
記事の減る冬の埋め草として手を付け始めた歩行性甲虫ですが、思いの他楽しくなって来ました。
生粋のオサ屋さんには敵うべくもありませんが、
「何が出ても楽しい」
という初心者のアドバンテージを生かして、一冬やってみようと思っています。
2010/11/26(金) 午後 4:05 weaponshouwa