クリアナアキゾウムシ

クリアナアキゾウムシ
2010/11/13(土) 午後 5:49
   
 
 秋も深く、虫は少ない。
 この辺りで過去の画像を食い潰しに掛かるとしよう。
 
 今年の6月。
 台原森林公園から北根に抜けようと思い、街を見下ろす狭い林道を歩いていると、傍らの木の幹が窪んだ所に何か違和感が。
 
 特に確信も無いまま近寄ってみると、幹の窪みにピッタリと嵌るように、質感も木の肌に似せたような虫が静止していた。
 
 
 
 
イメージ 1

 
 
 クリッとした眼に長い口。
 ゾウムシだ。
 
 割に大きく、最初はオオゾウムシかと思ったが、造りがずっと繊細な感じ。
 ゴツゴツした木肌に、よく溶け込んでいる。

 
 よく見ると、眉間に小さな穴が開いているのでアナアキゾウムシの仲間だ。
 これはクリアナアキゾウムシ。
 
 旧版の原色昆虫大図鑑などを見ると、フライアナアキゾウムシ Hylobius freyi として載っているが、リンゴアナアキゾウムシなんかと分けられた際に和名をつけなおしたのかもしれない。
 
 
 
イメージ 2

 
 
 黒地にオレンジ色の模様。
 細かい所を引き伸ばして見ると、鞘翅に生えたオレンジ色の細かい毛が模様を造っている。
 
 ゾウムシの体というものは意外に立体的で、被写界深度の薄いマクロで撮ろうと思うと、ごく一部にしかピントが合わない。
 最近では、ゾウムシの標本の各部にピントを合わせて50枚ほどの画像を撮り、それを1頭分として合成して各種を収録した写真集があるが、納得である。
 
 脚や触覚の一本ずつにまで微毛と彫刻が揃っており、イモムシ型の幼虫からどのようなメカニズムでこのパターンが形成されるのか不思議で仕方が無い。
 
 
 
イメージ 3

 
 
 もう少し色々な角度から撮りたかったのだが、前後や横に回ろうにも窪みに嵌っているのでレンズの枠が幹にぶつかってしまう。
 
 かと言って、突付いて動いて頂くのも躊躇われるような貫禄であり、同じような絵しか残らなかった。
 ちょっとずつピントを変えてあるので、せめて微毛とモールドが細部まで揃った、一切手抜き無しの造形美を見てやって欲しい。
 
 
 
 また、この造形はカモフラージュを突き詰めた結果なのでもあり、そういう意味では機能美と造形美がこの虫体一点に行き着いた、とも言える。
 
 単体で見ると造りの凝った生き物ほど、野外で見ると決して目立っていないという事はよくある。
 こうした生き物を見るにつけ、自然は実に巧みだと言うより他無い。
 
 
 
                                2010年6月11日   仙台市青葉区  台原森林公園。 
 
 
 
 旧ブログより↓
 
ほーっ、これは・・・。
ゾウムシで唯一採集することがあるのは、オオゾオムシ位なのですが、それにもひけをとりませんね。
2010/11/13(土) 午後 7:45 ひさ@くわがた
 
 
こんばんは^^
穴が気になるんだけど、何のための穴なのかねぇ…。
第三の眼が埋まってるのかしら。気圧の変化とか感じるのかしら。
焦点合成とか深度合成とか言われる合成画像は面白いですよね。
マクロの世界でもパンフォーカス画像が得られるのは、微小構造の全体把握に一役買うし。
今度試してみようかな…。
そのうち、撮影時にそんな画像が撮れちゃう処理機能が付くのかな。
2010/11/13(土) 午後 9:44[ Sakazuki ]
 
 
ひささん、こんばんは。
クワガタと一緒に樹液に来ているゾウムシというと、やはりオオゾウムシが多いですね。
このアナアキゾウムシは「たまたま」目に入った感じですが、大きい上に造りが凝っていて、珍種とは言えないものの良い虫だと思いました。
マダラアシゾウムシなんかも大きくて脚の凹凸が格好良く、大型ゾウムシって意外にオオゾウムシの一人勝ちでもないんですよね。
2010/11/15(月) 午後 8:36 weaponshouwa
 
 
Sakazukiさん、さらにこんばんは。
何しろグループ名が「アナアキゾウムシ」ですしねえ。
ゾウムシの単眼ってどこにあるのかわからないけど、ここに埋まってたりするんですかね。
穴に埋める必然性が無いよな。
露出を変えて複数画像の明暗を合成したり出来るんだから、ピントを動かしながらバシバシッと連続で撮った画像を合成する機能を積んでくれても良さそうなもんですよね。
野外で実用できるレベルになったら革新的だと思うんだけどなあ…。
2010/11/15(月) 午後 8:43 weaponshouwa