霧中に安息を

霧中に安息を
2010/10/9(土) 午後 1:19  
 
 
 10月7日の夕方、Omisoさんが電話をくれて、
 「 見慣れない大きなチョウを見た。 」
 と言う。
 
 白っぽくて少し青がかり、縁が黒。
 飛び方は緩く、脅かすと高く舞い上がってしまう、といった特徴を詰めて行くと、どうもアサギマダラらしい。
 
 まだ蔵王辺りの高標高地なら飛んでいるかも知れないが、仙台~名取市境近くで見たというので、珍しい事だ。
 
 高標高地といえば、先日デカいアカアシが…と言うと
 「 そういえば、明日またSuさんがヒメオオを採りに行くとか… 」
 という不穏な流れ。
 
 
 このやりとりを発端とし、翌10月8日。
 我々は都合をつけ、つかぬ都合は無理矢理ついた事にして、山に立っていた。
 
 
 結論から述べると、この日はクワガタが出ず。
 低温で霧も深かったため、クワガタの活性が低かったのか、それとも単純に活動時期が終わろうとしているのか判断しかねる所だ。
 
 
 
 
 
イメージ 1
 
 
 山の紅葉も思ったほど進んでおらず、半分がた霧に隠れてしまっている。
 カメラを持って歩いていると、手袋が欲しくなるほど寒い。
 
 上の画像に見える森を見渡した場所にあるのが、前回ヒメオオが当たり、この日も頼みにしていた斜面のヤナギ群。
 しかし、先行の山菜・キノコ採りの人たちが斜面を昇り降りする際の手がかりとして目ぼしい木を掴んでしまうので、ついていたクワガタも落ちてしまっているか、そもそも寒くて最初から登っても来ないのか。
 
 いずれにせよ、良い目は望めそうもない展開である。
 
 
 
 
 
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 一本ずつ丁寧にヤナギを見て廻ると、地衣類に覆われた幹に虫影一つ。
 ようやくアカアシクワガタを見つける。
 
 先日の特大個体もそうだったが、寒い日の昼前くらいには幹を昇るアカアシが多いように思う。
 
 
 
 
 
イメージ 2
 
 
 中ぐらいのオスだ。
 葉っぱをなめているのだろうか。
 
 不精せず、幹なり枝なりかじって樹液を出したが良かろう。
 
 
 
 
 
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 同じ木の少し低い枝を見ると、メスが一生懸命かじりついている。
 首を直角に曲げる特有の姿勢。
 
 ちょっと前まで雨が降っていたので、雌雄とも体に水滴が光っており寒そうだ。
 
 追加も無く、標高を落とす事にして移動。
 
 
 
 
 
イメージ 5
 
 
 霧は晴れた。
 クワガタはいない。
 
 「 この前はあの木にデカいのがついててさあ!」
 とか、そんな話ばかりしながら進むが、やはりいない。
 いない虫は採れない。
 
 例の不思議商店に寄って、温泉卵でも買ってくか
 などと、車に戻り掛けた時。
 
 Suさんが
 「 あれ… 」
 とコンクリートのユニットで固めた崖を見上げて立ち止まる。
 
 視線を追うと、コンクリ固めのさらに上方、葉の広い小さなヤナギに黒い影。
 
 
 
 
 
イメージ 6

 
 
 いたが…高すぎる。
 今期この場所に通い詰めたSuさんの目だから見つかったようなもので、本来は誰も見ようとしないような位置だ。
 
 Suさんの7mの竿でも、下から素直に差し伸べただけではとても届かない。
 
 
 
 
 
イメージ 7
 
 
 やや日が差し始める。
 撮った画像を拡大してみると、クロスズメバチが一緒に来ているようだ。
 
 
 攻めあぐねていると、身軽なOmisoさんがコンクリのユニットに脚を掛け、3mほど登った所から7mの竿を要求。
 受け取った竿を伸ばしてヒメオオを落としに掛かる。
 網に入れると言うより、揺らして斜面の下に落として拾うのが狙いである。
 
 
 
 ヤナギの枝にネットが掛かり、クワガタが落下。
 雌雄で落ちて来るのが見えたが、こういう時の常で落下点付近を探してもメスの姿が見えない。
 
 草を分けて探してもなかなか見つからなかったが、鬼気迫る勢いで側溝を覗き草の根を分けまくったSuさんが、とうとうメスを発見した。
 
 ようやくにしてヒメオオ1ペア。
 それぞれ腕に覚えのある人間が束になって掛かって、やっと1ペアだからな…。
 
 
 
 まあ、寒い日で雨も降っていたし、10月も第二週に掛かっている。
 本来であれば、こんなものだろうと考えても良さそうな所だが。
 
 何か得心つかないような感じが残るのは、これまでの採集での成果が毎回大き過ぎ、行けば採れるという無意識的な期待があったからだろう。
 
 足るを知らざる者は 富むと雖も貧し、と言う。
 ここらで一度ゆっくり、今年見た良い虫たちの事を振り返るべきであろう。
 
 今年の成果を、霧の山に感謝しておく事にしたい。
 
 
 
 
                                           2010年10月8日   宮城県。 
 
 
 
 
 旧ブログより↓
 
今の時期でもこうしてクワガタがいるのですね。
今年は暖かかったですが、それでも10月でもこうして生息できているとは凄いものだと思います。雨にぬれている姿は少し可愛そうな感じがしますね。
2010/10/9(土) 午後 2:27 オールドパッション
 
 
こんにちは^^
何年前だったか、体育の日にミンミンゼミ鳴いていた年がありました。
そういう年なら今頃でもヒメオオもまずまず採れるんでしょうね。
今夏は暑いものでしたが、秋は順当に進んできてますね。
でも、ここ最近もうちょっと晴れる日があっても良いのかもなぁ。
2010/10/9(土) 午後 2:32[ Sakazuki ]
 
 
こんにちは。
先週のヒメオオ採集で店じまいかな…などと私自身も考えていました。でもよく考えると三連休なんですよね。一日位は行こうかな?などと思っていましたが、やはり厳しいのかな?
まだ自宅の玄関外のヒメオオは元気に活動しているんですけどね。
2010/10/9(土) 午後 3:54 ひさ@くわがた
 
 
オールドパッションさん、おはようございます。
全国的に見ると、11月にヒラタクワガタついてたとか聞く事もありますけど、東北ではそろそろクワガタの活動は終わりが近いと思います。
種類を問わず、午前中に見る虫は露を付けている事がありますよね。
外殻や鱗粉のガードで本体は濡れないにしても、イメージ的に寒そうなのは確かですね…。
2010/10/10(日) 午前 7:42 weaponshouwa
 
 
Sakazukiさん、おはようございます。
今年のセミの退きは早かったようですね。
高温で発生が早い上に、代謝も進んで寿命も縮んでしまうし。
暑くもないのに9月まででヒメオオがスッカスカ、という年もある事を考えれば、今年は猛暑の割りに遅くまで出てくれたと考えて良いような気がします。
天気が当たればもうちょっと とは思うものの、例外的な出遅れ・居残りを除けば、今年のクワガタはお開きという事で良さそうですね。
2010/10/10(日) 午前 8:05 weaponshouwa
 
 
ひささん、おはようございます。
11日は晴れると聞きますから、まだ仙台市内では出るかも知れませんね。
まあ、昨今の天気予報ほどアテにならない物も無いので、何とも言いがたい所ですが…。
生き残りほどデカい、とか特典でもあれば必死で11月までやっても良いんでしょうけどねえ。
サイズは満足いったので、最遅記録の更新を狙うのも面白いかな。
2010/10/10(日) 午前 8:29 weaponshouwa