未だ譲らず 3

未だ譲らず 3
2010/8/30(月) 午後 6:29  
 樹液の一等席を離れ、そばに静止したカマキリに接近する赤カブト。
 カマキリは動かず。
 
 
 
 
 
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 ギリギリまで寄るものの、格闘には発展せず。
 
 
 
 
 
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 カブトムシは辺りを嗅ぎまわる様子を見せるが、カマキリを意識していない様子。
 この至近距離でもカマキリは微動だにせず。
 
 
 
 
 
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 カブトムシは踵を返し、先ほどとは逆の上向きで樹液を吸い始める。
 
 
 この場所では晩夏に木登りカマキリが多く、カブトムシ・クワガタとのニアミスを見かけることも多いのだが、両者の格闘シーンは見た事が無い。
 
 そもそもカマキリの鎌~前脚は、食べる相手を引き寄せ、逃げられないように捕えておくための道具である。
 口器にしても柔らかい物をかじって食べる造りだ。
 
 これで仮にカマキリが大型甲虫を捕えたとしても、クワガタのアゴやカブトムシの脚の力は強烈。
 鋏まれれば細い脚を折られ、引っ掛かれれば柔らかい腹が破れてしまう。
 かじろうにも硬い装甲には歯が立たず、カマキリにとってカブトムシやクワガタは全く面白くない相手だろう。
 
 大型甲虫の姿やモーションに興味が湧かないよう、遺伝的にカマキリの性格が出来上がっているのかもしれない。
 
 またカブトムシやクワガタの方でも、同族の体色である茶~黒色に戦意を刺激されるように出来上がっているようで、両者が野外でやりあう機会は少なそうだ。
 
 
 
 
 
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 そう思って画像を見直していると、キマダラヒカゲの残骸を抱えるカマキリの鎌が、左の片方しか無い事に気が付いた。
 傷の様子から、羽化以降に片腕を落としたものと見える。
 
 この隣の木からは大きなコクワガタが複数採れているし、キマダラヒカゲに混じって65mm程度のノコギリクワガタもまだまだ来ている。
 
 このカマキリが動かなかったのは、過去に右腕を取られ、大型甲虫との無謀な勝負に懲りていたからか
 などと考えるのは楽しい。
 
 また、片腕できちんとチョウを捕え生き抜いていたのだから、カマキリの捕食技術も大したものだと思う。
 
 
 
 
                                              2010年8月21日  宮城県。 
 
 
 
 旧ブログより↓
 
僕も生き物の写真を撮っていて、家のPCで見返して初めて脚が無かったり、指が無かったりするのに気付く事が多々あります。
ハンデを背負ってなお自然に生きる彼らは、ハンデを微塵も感じさせない逞しさに溢れていますよね。
2010/9/2(木) 午前 0:57[ Dobo ]
 
 
Doboさん、こんばんは。
昆虫の体の造りと来たら、頑丈の度合いが違いますね。
特に闘う虫に関しては、脚の2、3本千切れるくらい最初から算盤に入っている、とでも言わんばかりの豪傑振りですから…。
あまりにも自然に振舞っているから、その場で気付かない事が多いんですよね。
2010/9/3(金) 午前 4:10 weaponshouwa