マイマイカブリ 陸の諸島に
地域変異の幅広さで知られるマイマイカブリ。
亜種境界にあたるここ宮城県では、南北で全く体色が異なってしまう。
北の大きな境界は北上川。
以北に見られる紅赤と緑のツートンが美しいキタカブリから、川を渡って南下するにつれ赤紫と黒のコアオマイマイカブリに。
両河川の間は移行帯で、ここに位置しているのが私達の住む仙台市だ。
樹皮を捲り掛けたらチラッと越冬窩が見え、片手にカメラを持ち直して撮ったものなので、ガタガタ揺れるがご容赦。
二人いれば撮影は楽なのだろうけど、ちょっと裏山へ行くくらいで人を呼ぶのも…。
小さなオスで、上翅は青緑で頭胸部は青混じりというよくわからない配色。
![イメージ 1](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/weapon-shouwa/20010101/20010101053300.jpg)
亜種境界にあたる仙台のマイマイカブリの遺伝子プールは、もともと多様な形質を湛えている。
それが開発によって大きめの公園や小山といった場所に分断・隔離され、文字通り陸の孤島となって市街に飛び飛びに残った各ポイントで、個別の特徴が突出しだしているのではないだろうか。
今期各地のポイントを一つずつ見て周っていると、近所ほど奇妙な色形のマイマイカブリが出るものだとつくづく思う。
また同じ近所であっても、全く変わり映えしない個体ばかり続く場所も多い。
小ポイントごとの変異幅の差を考えてみるのも面白そうだ。
![イメージ 2](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/weapon-shouwa/20010101/20010101053310.jpg)
頭部に金色、胸部の紫に青が混じり、上翅の青緑へ。
一個体に移行帯のエッセンスが凝縮されているかのようだ。
![イメージ 3](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/weapon-shouwa/20010101/20010101053320.jpg)
オス同士での比較。
左はキタカブリ。
宮城県北部のもので、明るい緑色。
中央と右が裏山で採れたもの。
単純に背中の緑色だけ較べても、典型的なキタカブリの緑とは違う色味。
仙台の街中でこんな色が出るなら、近隣を調べまわってみよう と思わされた次第。
![イメージ 4](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/weapon-shouwa/20010101/20010101053330.jpg)
マイマイカブリという種は多彩な魅力を備えているが、どんな色形が現れるかわからない という未知性はその最も大きなものの一つ。
特に仙台においてはそれが際立っているように思う。
2011年12月 仙台市。